How to start the last love .4

2018.09.14 (Fri)


Y


事務所の車から途中で降りて、
一人ミジュと約束した場所へ向かう。

車中の限られた狭い空間で。

いつかはすごくそれが心地よく感じられたのに、
今日は…

正直、しんどくて堪らなかった。

車に乗り込む前に聞いた、
チャンミンの言葉が頭のどこかにひっかかってるのに。
だけど、素直には話せない自分。

チョン・ユノってこういうヤツだったのか…と、
自分でも驚くほどに弱い人間だったと実感した。

一人を想いすぎて、
話す事も動く事も出来ないなんて。

本当に笑える。

きっかけなんて些細な事で。
別にジュン先輩だから、て訳じゃない。

そう、先輩はきっかけにしか過ぎない。
元々、心の奥にあったものが今回たまたま表に出てきてしまっただけ。

それだけなんだ。

ミジュに指定されたのは、
市内でも有名なホテルの最上階のバーで。

ホテルならある意味、
目立ちにくいんじゃない?っていう彼女の配慮の元に。
今に至る。

豪華な作りのエレベーターに乗り込んだ。

エレベーター自体がオープンになってる為、
上に上がってく間にホテルの内部が見える。
下にはアトリウムが広がって、
そこがライトアップされて食事をする人の姿が見えた。

最上階まで上がり、
その店に入るとミジュはすでに来ていて。
俺に軽く手をあげて、自分の居場所を知らせた。

さっきの格好とはまるで違って、
Tシャツに長めのベストを羽織り。
細身のジーンズにヒールという、ラフな格好。

だけど、この方が。
俺が知ってるミジュに近い気がした。

俺は変装は一応したつもりだけど、
やはり気付く人は多くて。
あまり意味がなかった。

小さな悲鳴が聞こえる。

「わ、もうバレたねユノ。
変装の意味なしじゃん。」

そう言いながら、
特別慌てる様子もなく笑みを零すミジュ。

「ああ。
騒がしかったらゴメン。」

「別に気にしないよ。
でも、そういう仲だって噂されるとマズイね?
私は全然構わないけど。」

そう。
彼女のこういう、さらりとした感じが好きだった。

突き放されてるみたいなのに、
実はそこにどんどんハマって…
抜けられなくなった。

「ミジュは、変わらないな。」

カクテルをオーダーしつつ、
ミジュに話しかけた。

「そうかな?
まぁ、あの頃よりは成長したと思うけど。」

ふふっと笑う姿が、
何か懐かしい。

「ユノさ~…
何か今、しんどいの?」

「え?」

彼女は勘も鋭い。
そして、それをきちんと口に出して相手に伝える強さも持ってる。

「何で、そう思う?」

「なんとなーく。
その顔は、愛に悩んでる顔だ。」

「……。」

「あ、図星か。」

何も言い返せない。
多分、それが答えだと受け取ってくれるはずだ。

「そか、有名人でも愛に悩むんだね。」

「ミジュは、…充実してる感じだね。」

「私?あはは、まぁね。
愛に関しては、今は順調です。
今の彼氏はさ、年下なんだよ?」

「そうなのか?」

「うん。
同じ会社でね、職場恋愛ってヤツ。
ダメダメな年下だけど、これが可愛くって。」

そう言いながらグラスに口を付ける彼女の表情は、
まさに「恋をしてる顔」だ。

「ユノの恋はそんなに辛いのかー…。」

「……。」

ミジュになら話せるかな。
俺とアイツの秘め事みたいな恋の話。
この人なら驚きもせず、笑いもせず聞いてくれそうな気がする。

「あのさ…。」

そう言いかけた時、
ミジュに遮られた。

「あ、ユノの片割れめっけ。」

「─── え?」

ミジュが指差す方に視線をずらすと、
そこには。

ジュン先輩や、メンバーと一緒のチャンミンの姿。

少し落とされたライトに、
綺麗な顔が映し出されて。

俯き加減のその顔から、笑みが零れてる。
その顔を見て、…痛む自分の心。

俺には気付いてない。

「ん?声かけなくていいの?」

不思議そうに尋ねるミジュに、
無言で頷いた。

そう、いい。

何て言やいいか、分からないから。
視線を元に戻した。

「ユーノー…
辛い恋の相手って、あの人かな?」

「……。」

大きな窓際のテーブルに付く、
ミジュがもう一度指差した先にいるのは。
…チャンミンだ。

「何、言って…。」

「へー、そうなのか。」

ここでいい訳したって、
勘のいいミジュにならバレる。
何も言わない方がいい。

ミジュと視線が合うと、
にこりと微笑まれながら。

「ユノも大変な恋してるんだねぇ。」

ただでさえ人に言えない恋愛。
そして相手が、「男」ならなおさら。

だけど、ミジュはそこには興味がないみたいだ。
と言うか、そういうので人を分け隔てるヤツでもない。
だから俺は敢えて、自分の口から言わないでもそれが答えだと分かるように。

何も言わずにいるのかも知れない。

「すごーく好きなんだね?」

「……。」

「めっちゃ好きなんだね?」

「……。」

「私と会ってても、
意識があっちに飛ぶくらいに。」

「……。」

「私の大好きな、ユノの笑顔が消えるくらいに。」

「……。」

「そうなのかぁ。」

それ以上は何も彼女は言わなかった。
ただ、小さく頷いて黙ってまたグラスに口を付けただけ。

俺のこの気持ちに寄り添うように、
ただ黙って静かに。

それから、どれくらい話したのか。
意識がチャンミンの方に行きそうになるのに、
必死に堪えて。

そんな俺の気持ちを汲むように。
ミジュが楽しい話で笑わせようとしてくれた。

「あ、もう帰らなきゃ。
ユノ、送ってよ?」

腕時計にちらりと視線を落とし、
ミジュが言った。
確かに、もう遅い時間だ。

「勿論。」

やっぱり微笑みながら彼女が立ち上がり、
俺の後ろからゆっくりと歩く。
離れすぎず、近すぎずの距離。

そして。
ミジュが俺の腕におもむろにその細い腕を絡ませ。
耳元で囁かれた。

「ユノ、こっち通ろうか。」

「え。」

そう引っ張られたのは、
チャンミン達が座るテーブルの後ろだ。
そこを回避して出る事も出来るのに。

ミジュに引っ張られて、
そこを通らざるを得なくなった。

「ミジュ、ちょっと…。」

そして、俺達に背を向けてるチャンミンの後ろで。
ミジュが嘘みたいに倒れそうになった。

「きゃっ。」

その声で、勿論チャンミンが気付き…
先輩達も気付き。

ゆっくりと振り向く。

は?嘘だろ?って思うより前に。

体が先に動いて。
ミジュを受け止めた。

「大丈夫か?」

俺の腕の中でにやりと笑う彼女。

あ、ヤラレたと思ったけど。
もう、遅い。

「ユノ、ごめん。
ヒールが高すぎて転びそうになったの。」

「…ああ。」

今までとは違う甘い口調の彼女を抱き起こしながら。

ゆっくり視線を彼女から外せば、
当たり前みたいに合う…

チャンミンとの視線が。

だけど、それはすぐに逸らされて。
正確には、逸らしたのは、自分。

そのままミジュの腰に手を回したまま、
その場を離れる。

「ユノ、さぁどうする?」

嬉しそうに笑いながら、どこかこの瞬間を楽しみながら。
…俺を見上げる彼女。
その感じが愛しくて、何だか可笑しくて。

つい、

軽くキスをした。

何となくそうする事が、
格好良く見えるかもって。

今、すぐ傍にいる恋人に見せ付けてやろうって。

そう心のどこかで瞬間的に思ったのかも知れない。

俺だけ苦しまず、
お前も苦しめって。
そういうのだ、多分。

周りから聞こえる悲鳴みたいな声も。
先輩達が冷やかす声も。

全部聞こえてる。

彼女が、驚いたみたいに。
無意識に閉じた瞳をすぐに開くけど。
だけど。

理解してくれるように、
ただ微笑む彼女に。

もう一度キスを落とした。

俺は。
こんな風に自分を追い込んで。

ただでさえ理由を聞きたがるチャンミンを、
傷つけて。

何がしたいんだろう。

ミジュは。
俺にチャンスをくれただけ。

今回の事に向き合う為の。

答えは誰が出す訳でもなく。

自分で出すしかないから。








OMG!(心の声)
久しぶりに読み返してみて目が点。
てか、…←点が多すぎて読みにくさMAX(ごめんなさい)





コメント
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| 2018.09.14 13:55 | 編集
はじめまして。
凄いドキドキワクワクして今晩ねむれるかわかりません。
いつも楽しませてくださり、感謝しております。ご挨拶が遅れスミマセン。今後とも何卒宜しくお願い致します(^-^)v
私も一緒にお二人を応援させてくださいね!今日もありがとうございました。
あさみ。 | 2018.09.15 00:06 | 編集
あさみ。さま

こんばんは。
そして、初めまして!
こんな僻地へ遊びに来て頂いた上、嬉しい言葉まで…
こちらこそ感謝です、本当にありがとうございます(´;ω;`)
これからも、お暇つぶしに読んで頂けたらそれだけで本望です。

こんな私とうちのホミンちゃん、これからもよろしくお願いします。
コメントありがとうございました♡
ツキカ | 2018.09.15 20:27 | 編集
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