How to start the last love .2

2018.09.12 (Wed)

Y-side


俺のこの複雑な苛立ちの、
本当の意味を…

知らないチャンミン。

それでいいと思うのに。
見せたくないと思うのに。

心のどこかで、
「気付け!」って叫んでる自分もいる。

事務所のアーティストがほぼ揃って出席した、
ある企業のパーティ。

社長同士が友人とかでそういうのに顔を出す事なんて、多々ある。
だから、珍しくもない。

俺の横には変わらず、
チャンミンがいるのに。

どうしてか気分が晴れない。

会場で、他のグループのメンバーと話していても。

横にチャンミンがいなければ、
無意識に探す自分がいた。

当のチャンミンはと言えば。
例の先輩のグループに掴まり…
笑顔も見えて。

その笑顔が俺といる時より、
良く見えるのは今のこの心境だからかな。

「あーっ、…どうなんだ、これ。」

自分で自分に頭に来て。
目の前にあった料理に、これでもかってくらい手を伸ばした。

「こうなりゃ食べて、飲んでやる。」

次々とそつなく行き来する、ホテルのスタッフ。
片手に銀のトレイを優雅に持ち、
その上には綺麗な色のワインやカクテルが並んでる。

スタッフを呼びとめ、
その中の一つに手をかけた。

その時。
同じものに手をかけた人。

その指は細くて、白い。
綺麗に手入れされた爪には、清楚なネイルが施されている。

そして、合う視線。

「あ。」

思わず零したのは、俺の方。

そこにいたのは、
俺の知ってる人だったから。

「ユーノ!久し振り。」

そう言って懐かしい声で俺の名前を呼ぶ人。

「お前、ユ・ミジュ?」

「やっぱりユノだったか。」

今の立場の俺を見ても驚かない人。
それも、そのはず。
彼女は俺の高校の同級生で。

俺の初恋の人、だ。

「何で、お前がここに?」

「んー?だって、ここうちの会社だもん。」

「はぁ?」

って。
うちの事務所とやり取りする企業だぞ。
それがうちのって。

「ここ、お前のうち?」

驚きすぎて、言葉がおかしくなった。

「ぷっ。ここは私のうちじゃないけど。
まぁ、この会社が父のって事だね。」

別に奢る所もなく、平然と言ってのける。
高校の頃は、知りもしなかった事だ。

あの頃は、家とかそういうの関係なくて。
ただ相手だけを見つめてたから。

「ユノ、そんなに食べるの?」

「え?…あ。」

ムカついた腹いせに、
ここぞとばかりに皿についで。
食べようとしてた瞬間だったから。

「まぁね。」

「ふーん。
相変わらずよく食べるんだね。」

にこりと微笑む彼女。
気性がさばっとしていて、面倒見が良くて。
誰からも好かれてた。

頭もいいし、運動も出来て。
だからって訳じゃないけど、そういう彼女を好きになって。

いつの間にか、自分の彼女になってた。

あの頃よりもぐんと女らしくなって、
凛とした部分はそのままに。

ベビーピンクの短めのドレスが。
彼女の雰囲気をさらに良くしてる気がする。

そしていい時間を過ごして来たんだと、
一目で分かるような雰囲気をさりげなく身に纏ってる。

「ミジュは、この会社で働いてるのか?」

「うん。あ、でもちゃんと採用試験は受けたからね。
合格して、コネとか使わず入社したんだから。」

彼女らしいと言えば、
彼女らしい。

「そうか。」

「あ、ねぇユノ。」

ぽんと手を叩いて、
何か思いついたみたいに俺を覗き込む。

「コレ終わったら、何かある?」

このままうちに帰るだけだ。

ふと視線を上げると、
チャンミンのそれと合った。

だけど、きっと。
チャンミンの帰りは遅いに決まってるから。

「や、別に。」

「そ?じゃ、飲みに行こうか?
あー…、でも、有名人だから無理か?」

「イヤ、平気。
顔隠してくし。」

「あは、何それ~。
変身するって事?」

「そうそう。」

偶然会ったその人と、
こうやって笑い合える日が来るなんてあの時は思ってもみなかった。

少しだけ冷たくなってた心が、
温かくなった気がする。

人を好きになりすぎるって。
実は、すごく。

大変で苦しい事なんじゃないかって…
心から思う。

俺から離れて微笑んでる人に、
この想いを上手く伝えられそうにない。

今は…。








珍しくユノ目線が続いておる…


コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top