dote on

2018.09.07 (Fri)


C


目の前の現状に思わずため息が零れた。
自分たちの「今」をまさにリアルタイムで知って貰えることは嬉しい。
だけど、いちいち過剰な反応されてもなって思ったり。
本当はやりたくなかったけど、これも「仕事」だと言われたら頷くしかない。
これもまたリアルだな───

「チャンミナ、何見てんの?てか、どこ見てんのお前。」

バスルームから上半身裸で腰にバスタオルを巻いたままのユノが出て来た。
…のは、数分前だったのかも知れない。
後ろにユノがいたのに気付かないくらい、無意識に意識を飛ばしてたらしい。

「え?ああ、まぁいつものやつ…って、ユノ!髪濡れたまんま出て来ないで下さいよ。」
「お?おぉ、わりわり。」
「全然思ってないだろ、毎回。」

いつものように僕に適当な返事をしながら、キッチンへ入ってくその背中。
最近は特に極限まで絞られた身体は、男の僕から見ても「美しい」と思う。
って素直に言うと図に乗るし、結局「チャンミンのが凄いじゃん」って返される。
確かに僕も身体作ってはいるけど、何だろうユノを纏う空気ってのかな。
上手く言えないけど、そんなのも全部ひっくるめての「美しい」なんだけど本人は分かってないだろな。
全て無意識なんだら始末が悪いよ、ホント。

冷蔵庫にあったペットボトルを開けて水を飲む姿なんか、本当にそれだけで一枚の絵になるくらいだ。

「どした?そんなに俺、格好いい?」
「っ、はぁ?」
「だって、さっきからずーっと見てるだろ。チャンミンのエッチ。」
「見てねぇし!しかも僕に背中向けてたくせに。」
「何で俺が背中向けてたって分かるんだよ、お前。」
「あ?…そっ、れは勘ですよ勘。」
「ふぅうううん。」

ああ、もう面倒くさいな。

「で?何があるんだ、その画面に。」

そう言いながら、ユノは座った僕を跨ぐようにソファにどさりと腰かけた。

「って言うか、下着履いて下さいよ。」
「ん?ああ、そうね。」

そう言って一度立ち上がって部屋に入ってくと、今度はハーフのスウェットパンツに上は黒のTシャツを羽織っただけで出て来た。

ああ、もう言いたくないけどいちいちどんな格好でも似合ってしまうんだよな。

「んで?」

そんな僕にお構いなしに、もう一度さっきの位置にユノが座った。

「別にそこじゃなくても、横に座ればいいんじゃないですか?」
「え、こっちのが画面見やすいじゃん。それに、チャンミンを抱きしめられるし。」
「っ、ちょっと…」

そう言いながら、後ろから抱きしめるって言うより覆いかぶさるような形で僕の背中に乗って来た。

「おもっ…」
「失礼だな、最近痩せたんだぞ。」
「はいはい。」

シャワー浴びた後ってのもあるから、余計に背中に感じる体温が熱い。
低めの自分の体温とそれは微妙に重なって、結果心地よく感じるんだから始末に負えない。
まるで最初からそうだったように───

「あ、これ?また?」
「ですね。まぁ、内容は何でも”僕が”アップすると最近はいつもこうですね。」
「ふぅん。」
「ユノは僕がインスタに何かアップしても”いいね”とかしてくんないから、分かんないでしょ。っていうか、そもそも僕のとこ覗いてるのかっていう最初のとこが疑問だし。」
「な、お前失礼だね。ちゃんと見てるぞ。」
「へぇ、それはありがとうございます。」
「おまっ、可愛くねぇな。」
「それも、毎度ありがとうございます。」

そんなやり取りに僕を抱きしめたまんまのユノが肩を揺らして笑った。

「可愛いねぇ、チャンミナ。」
「はい?」
「いや、本当に可愛い。お前マジで30なの?歳偽ってねぇ?」
「っ、貴方と2つ違いなんだから記憶が正しかったら30です!」
「ははっ、だよな~。でも、何でこんなに可愛いんだろな~。」

そう言いながら後ろから僕の頭に何度もキスをする。
顎を掴まれて向きを変えさせられたかと思うと、今度は熱い温度が僕の唇に触れた───

「っ、…僕を犬か猫と間違えてんじゃないですか…」
「ああ?んな訳ねぇだろ。」

今度は耳たぶにキスをされて。
文句も言えなくなった。

「お前、こういうので落ち込まなくなったね最近。」
「え?」
「昔ってか、ちょっと前までは結構真に受けて少なからずテンション下げてたじゃねぇの。」

確かに───

不特定だとしても誰かに中傷のようなことをされるのは気分がいいものではない。
それを”何で”って考えてた自分がいたし、ユノはそんな僕に寄り添うようにいつも心を離さないでいてくれた。

あまりにも酷い時には、ユノが一番大事にしている相手へ声を挙げてくれたこともあった。

忘れもしない───

「あの頃より、大人になったと言って下さい。」
「んあ?こんなん言われて気分悪いのなんて、いつでも関係ないだろ。」
「そりゃ…。」
「じゃあ、我慢しなくていいんじゃねぇ?俺の前では。」
「我慢、って言うか。…上手く言えないんですけど、昔みたいに悲しくもならないし腹も立たないっていうか。」
「チャンミナ?」

またユノが僕の顎をその綺麗な指で掬い上げて、今度は真上を向かされた。
両脇にあるユノの足を椅子のようにして後ろに凭れ掛かると、真上にある綺麗な目元が少しだけ細くなって。

笑ったまんまで、その唇が重なる───

「無理してねぇ?」
「…全然。何か思うところは色々あるんですけど、上手く言葉に出来ません。」

このたった数文字を書いた相手は誰だとは分からなくとも。
周りに溢れる好意的なそれを書いた誰かと同じように。
僕かユノの、僕らのファンである可能性は高い。

そこで僕が何かを言ったとして、悲しく心を痛めるのは他でもないこの優しい人だ───

何より誰よりファンを大切にしている、貴方。

昔は自分が一番可哀想だと潜在的に思っていたのかも知れない。
それが態度にも言葉にも出て、結果ユノを苦しめた。
貴方はそれを知ってか知らずか、変わらず僕の前に立ってくれたけど。

僕は貴方の傍にいる事で、強くなれたんだと思う。
自分が一番可哀想だなんて、思ってたなんて信じられないと思えるくらいに。

その深い想いによって、少しずつ少しずつ僕は変えられた───

さらりと揺れるユノの髪に触れた。

「ユノ。」
「何だよ。」
「…何でもない。」
「って言うか、チャンミンの一言でこれならさ。俺らの関係を公表したらどうなるんだろな。」

身体を起こし、ユノの横に腰を下ろした。
と、同時に肩を引き寄せられる。
いつもの左側の温度に、ほっと溜息が零れた。

酷く安心出来る場所。

「どうなるんでしょうねぇ…。」
「お?」
「収集がつかないくらい大騒ぎになるのかな。」
「それでも、…平気か?」

平気に決まっている。
隣に貴方がいるのなら───

「だから、僕も大人になったんですってば。」
「まぁ、モテる相手を恋人に持つってことは苦労も多いってことだ。」
「はぁ?」
「だから、観念しろよチャンミナ。」

意地悪そうに口元を緩めて。

そんな顔さえ格好いいって伝えたら、さらに自惚れそうだから言わない。

「俺から離れるとか一秒足りとも考えんじゃねぇぞ。」



そんな術があるのなら教えて欲しい。



息苦しささえ感じるこの関係を終わらせる方法がこの世にあるとしたら。

それさえも愛しいと思ってしまうこの関係を忘れる方法がこの世にあるとしたら。














「離れられる訳ねぇでしょうが。」









そんな方法は一生かかって探したって見つかるわけない───





dote on 溺愛する





END









まぁ、相変わらずインスタが騒がしいようで(笑)
それ見ながら、こんな2人でいて欲しいなぁと願いを込めて♡
一気に書き散らかしたので読みにくいかもです、すみません!
2人日本年齢で。…合ってるよね:(´'v'):








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