7th.Heaven .19

2018.09.16 (Sun)

*YH


マネヒョンに聞かれた時に気づくべきだった。
チャンミンは自宅にいると言う俺の勘は外れ、またこの店にいるかも知れないと言うもう1つの勘は予想に反して当たった。
誰と何処に行くなんて把握していないし、良く行く店が実際あるのかも知りもしなかった。
たまたまその店の名前が出たのは、つい最近…こんな風に騒ぎになる前にチャンミンが行ってみたいと話していたからだ。

「マネヒョン、本当にチャンミンからこの店に来いって連絡来たのか?」
「そうだ。俺も理由は分からないが…お前と飲みたいとか?」
「…まさか。」

最近の2人の雰囲気としては、それは有り得ないだろうと思った。
仕事中はソツなくこなす俺たちでも、それが終われば潮が引くかのようにバラバラに帰路に着く。それから何をしてるかとか、誰と一緒だとか干渉するのが許されなくなってしまったから───

「まあ、何だっていいだろ。場所は何処でも、きちんと話すことには変わりないんだからな。」
「まあ、そうなんだけど…」
「俺は帰るから、あとは2人で行動しろ。」

マネヒョンの言葉に急激に心細くなった。

きちんと話せるのか、俺───。

感情的にならないようには気をつけるつもりだけど、気づいたらヒートアップしてることの方が多い。
でも、逆に周りに人がいる方が理性が保たれていいのか。
そう自分に言い聞かせて、マネヒョンに続いて店に入った。

「何処にいるかチャンミンに電話してみるから。」
「ああ。」

店に入った途端に感じる視線。
しょうがないのかも知れないが、正直ほっといて欲しい時もある。
…今がまさにそんな気分だ。

「ふぅ…。」
「何だ、溜息か?」
「や、大丈夫。」
「チャンミンは奥の部屋にいるみたいだ。…ユノ、ちゃんと話せよ?感情的になるな。」
「ヒョン。」
「俺は今夜はこれで仕事終わりなんだ。いい加減うちに帰してくれよ。」

そう笑いながらマネヒョンは俺の肩を叩いて、入口の方へ戻って行った。

感情的になるな───

自分としてもそうなりたい訳じゃない。
冷静に話したいと思っている。
こうなってしまった経緯と自分の思いと。

自分に言い聞かせるように心臓を軽く叩いて、そのドアを開けた───

















「え?…ユノ?」













開けた先にいたのは、酷く驚いた様子のチャンミンと。










俺の知らない相手───












一瞬、頭が真っ白になった。

いや、別におかしくはない光景なのかも知れない。

自分も誰かと食事に行くことはある───

それは男女関係なく。
ただ、今目の前に飛び込んで来た現実と違うことは。
「二人きり」ではないと言うことだ。

イ・ユミ以外とは───

「っと、え?…ユノ、なんでここに…」

その慌てる姿にざわりと背中に何か上がって来る感じがした。

”感情的になるな”

ついさっきマネージャーに言われた言葉が頭に過ぎる。

「…リナ。こちら───」
「知ってる。ユノ・ユンホさん。」

リナ───

そう呼んだチャンミンに、何度も感じて来た嫌な感情が立ち上がって来るのが自分でも分かった。
それは、”嫉妬”と言う単純で分かりやすい単純なものと言うより。
今のこの他でもない俺の気持ちを踏みにじられたような気がして。

これでいいのか、大丈夫、でもこれでいいのか───

そんな風に何度も自分に自問自答しながら、2人の未来を考えてる自分が酷く滑稽な気がして。

確かに、矢面に立つのは自分で構わない。
ただそこには、いつだってそうする自分をチャンミンは理解してくれてると信じていたから。

何だかその思いが、彼女といるのを見た瞬間に消えてしまったような錯覚に陥った気がした。

「何、やってんのお前。」

それを自覚したら、もう駄目だった───

「ユノ?」
「こんな時に何やってんだよ。」
「…こんな時?」
「色々SNSで騒がれてる時に。」

こんな事言いたい訳じゃないのに。

「…それは、僕のせいですか?」
「あ?」

チャンミンの視線は俺と合ったまま、真っすぐに。
そしてこの雰囲気を察知したのか、横にいたリナと言う女性がチャンミンの腕を軽く掴んで引っ張ったのが目に入った。

「っちょ、チャンミン…」
「大丈夫。」
「大丈夫って、そんな喧嘩腰に…」

そのやり取りさえ無性に腹立たしくて、まるで自分が悪者になった気分さえした。

俺はちゃんと今日こそは誤解を解いて話そうって決めて来たんだ。

本当は全部を自分で終わらせたかったのに、お前に話すことなく自分ひとりで。

俺が一度決めたことは絶対に曲げないって、他でもないお前だから分かってるだろ。

でも、そのことが他でもない…
自分が想いを寄せるただ一人のひとを傷つけるくらいなら。

こんな自分の小さいプライドなんて捨ててしまってもいいとさえ思って、ここに来た───

分かってくれてると思ってたよ。

どんなことになっても、この今の現状でさえもお前は100%じゃなくても理解してくれていて。

俺をちゃんと待っててくれるって。

そんな風にずっと思って来れてたからこそ、俺はやって来れた───

「なのに、…これはないんじゃねぇの。」
「どういう意味ですか?」
「意味?意味なんてないよ、まんまだろ。」

男女で仲良くやってる場所に知らずに入って来た自分は、まさしく間男に違いない。

自分の自尊心がこの上なくズタズタにされた気がした。

今まで経験したことがないような感情が自分を包んでいくのが分かる。

「その人、だれ。」

今だ、チャンミンの腕を掴んだままの相手を見ながら自分の声が一層低くなったのが分かった。

「あ、すみません!私、キム・リナと言います。あの、チャンミンとはさっき…」
「───僕の彼女になって欲しい人です。」

そして、彼女の言葉に被せるように確かに聞こえた言葉。

「は?ちょっと!チャンミン、何言ってんの!だって、さっき…」
「”なって欲しい人”だから、始まるかはこれから次第なんですけど。」












一瞬、マネヒョンやハルさんの顔が浮かんだ。

俺らの為に必死に言葉をくれて、いつも動いてくれてた。
ついさっきまで、マネヒョンは傍にいてくれてた。
相談に乗ってくれたボアにも、何て報告すればいいんだろう。

そして、そんな事が頭を過った。












感情の起伏にもう自分でも着いて行けない。














こんなにこじらせるくらいなら、最初から言っておけば良かったな。












次の言葉が見つからずにいたその時、パンと乾いた音が部屋に響いた。















それは、リナがチャンミンの頬を叩いた音───











それを理解するまでに数秒かかった。

目の前で叩かれた頬を押さえ、まんまるい目をさらに大きくして驚いてるチャンミン。
そんなチャンミンをリナは睨んでる。

「馬鹿!」
「…リナ?」
「痛い?」
「そりゃぁ…。」
「でも、チャンミンが痛いようにこの人も痛いみたいだよ!…ちゃんと見なよ。見た目だけじゃなくて、本質的なとこを!」

リナに向けられてたチャンミンの目が俺の方を向いた。

「ユンホさんも、ユンホさんですよ。そんなに怒るくらいなら、ちゃっちゃっとチャンミンに話してしまえばいい。」
「え…」
「話があるから、ここまで来たんじゃないですか?」
「ああ、うん…まぁ…」

天下の2人、は言い過ぎかも知れないが。
かなりの勢いの立場の俺たちを呆けさせてる状況───
これって、かなり可笑しくはないか。
リナを見ていると、じわじわと感情が冷えてくるのが分かる。

「あのね、チャンミン。」
「はい?」
「私はアナタと付き合う気もないし、そんな感情も全くない。だって、会ったのってさっきでしょ?男女でも友情は成立するって、そう確認したばかりじゃない。私を当て馬にしないで。」
「違う、僕は、」
「言い訳なんかいらない。そう一瞬でも思い込ませて、チャンミンにそんな風に言わせてしまうようなこの状況が一番悪い。」
「リナ。」
「どうして、さっき私に話したようなこと…その相手に素直に言えないの?聞けないの?」

そんな彼女の態度に、自分を包んでいた尖った感情が丸くなって行く。

「…でも、今の2人を見て私もちょっとダメだなって思った。」
「リナ。」
「私ももう一回話し合ってみないとね。…こんな風にこじらせまくって取り返しつかないことになる前に。」

そんな風に言いながらリナは笑いながら、俺の手を掴んだ。

「チャンミンをお願いします。とても好きな人がいるらしいんですけど、どうにも最近その相手の気持ちが読めないとかで寂しがってましたから。」
「あ、俺?っと…」
「って、伝えといて下さい。私、相手の人の事知らないから。」

リナは気づいてる───

この数分のやり取りで、チャンミンの相手が誰なのか。

「あぁ、…何か自分が情けない。…本当にごめん。」
「えぇ?謝って貰うことは何もないです。でも、チャンミンには謝って下さいね。」
「え?」

それだけ言うと、チャンミンの耳元で何かを囁いて彼女は部屋を出て行った。

しんと静かになる部屋に、思わず唾を飲み込んだ。
ガラにもなく酷く緊張してるみたいだ。

「パワフルなんだな。」

覚悟して発した一言がこれで自分の格好悪さに泣きたくなった。
でももう今更、格好付けたとしても後の祭りだ。
マネヒョンからあれだけ言われていたのに、リナがいなかったら危うく自分を見失ってチャンミンを傷つけて。
散々な姿を晒した挙句、また振り出しに戻っていたかも知れない───





もう、こんな思いは十分だ。





「チャンミナ。」
「…はい。」





そして、もう限界だ。






「うちに帰ろう。そして、俺の話聞いて───」











な、長い…_| ̄|○ il||li
すみません!

昨日の記事にコメントありがとうございました!
拍手の方からも頂いてて、有難く読ませて頂きました。
本当に嬉しかったです(泣)

お話、お暇つぶし程度で読んで頂けたら私的には大満足です( ´v` )



コメント
うわぁー。超ドキドキしたよぉ、前半。
これからどうなっちゃうのぉ(T^T)って。
次回も楽しみだー。

今日、さいたまのチケが届きました。
もうすぐはじまるツアーにわくわく。
数日後に届くであろう新しいアルバムにワクワク。
そして月様の更新にもワクワク(ˊᵕˋ*)

こんなにもワクワクが!嬉しいかぎりです。
tomocchi | 2018.09.17 11:11 | 編集
tomocchiさま

こんにちは!
コメントありがとうございます♡

ウフ♡
ドキドキしてくれた??なら良かった(*´з`)
待ってくれてるのに更新が遅くてごめんね!
ストックがない(笑)
苦労して生み出してるので、気長に待ってもらえると嬉しいです。

そして、チケット!
ツイ見てるとみんなにも届き始めてるみたいで。
テンション上がってくるね~~~~!
日本に2人がいてくれるだけで、本当に嬉しい♡
全く情報がないのは、リハやら頑張ってくれてるからだと思う。
今年も全く休む間がないね、トンペンは(笑)

また遊びに来て下さい♡
ありがとうございます。
ツキカ | 2018.09.17 17:11 | 編集
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