7th.Heaven .6

2018.08.17 (Fri)


*YH


今まで色々と緊張して来たけど。
今回のは、その中でも群を抜いてる───

約束した場所へ向かう車の中で、マネヒョンは1回だけ聞いて来た。

「これでいいのか?」と。

後部座席に座る俺とルームミラー越しに合ったままの視線に、逸らさずに答える。

「これでいいんだ。」と。

それ以上はマネヒョンも何も言わなかった。

車の外に視線を移すと、当たり前だけど沢山の人が歩いてるのが目に入る。
彼らの日常が時々羨ましくなる時がある。
縛られるものがあったとしても、それに少し窮屈だと感じながら友達に愚痴を吐き出して。
少しだけすっきりした気になって、また次の朝が来て普通の毎日が始まって───

そんな当たり前みたいな生活が酷く輝いて見える。

「…向こう側から見れば、俺たちが輝いて見えるんだろうな…」

こんな俺たちを、同じように羨ましいと思うんだろうか。

好きな相手に自由に振る舞えない、こんな自分を───

この世界にいる限り、ずっとこんな風に思うんだろうな。

「あ?どした?」
「いや、独り言。」
「もう着くぞ。中までは一緒に入るが、話は当人同士でな。頃合見て連絡くれたら、迎えに行くから。」
「ああ。…マネヒョン、ありがとう。」
「なんだ。最近俺ら感謝されっぱなしで居心地悪い。」
「いや、本当にそう思ってるし。」
「そういうのは全部終わってからでいいから。」

全部終わってから───

終わりが見えたらどんなに楽になるだろう。
掴めるものの形が見えたらどんなに楽になるだろう。

分からないから不安で仕方ないのかも知れない。



---


その人はすでに到着していて。
俺が部屋に入ると立ち上がり、軽く会釈をしてみせた。

「初めまして。チョン・ユンホです。」

あえて芸名ではなく本名で挨拶をする。
それに少しだけ微笑んでくれ、差し出した手を軽く握り返してくれた。

「…初めまして。イ・ユミです。」

ふわりとした柔らかな───

それが第一印象だった。

自分の周りにはいないような、どちらかというと地味な感じの女性で。
ただ秘められた凛とした強さみたいなものが、漠然と伝わって来る。

「すみません、今日はこちらの都合でお呼びたてしてしまって。
お待たせしてしまいましたか?」
「いえ、突然だったので驚きましたけど。私も今、来たばかりです。
…こうやってお会い出来て嬉しいです。」
「いつも応援してくれてありがとうございます。」
「あの、…私、ユンホさんより年下なので。言葉遣いは楽にしてください。」
「え?あ、そうなの?そっか…じゃあ、遠慮なく。」

電話ではこれまでに彼女とは幾度か実は話していた。
印象だけで言えば、電話口の声音のまんまだなと思う。
でも実際会うのは、これが初めてで。
会うことで事の重要性を伝えたかったし、自分の気持ちを目を見てきちんと話したかった。
それは結果、自分の自己満足でしかないのに彼女が快く承諾してくれて感謝している。

「電話でおおよその事は話したと思うんだけど───」
「はい。」
「返事を…、聞かせて貰ってもいいかな。」

回りくどいことはしない。

俺らしく直球だ───



---



気付けば2時間近く喋っていたらしい。
自分さえ知らない自分をも遠くから見守ってくれていた存在───
とても有難いと思ったし、彼女の口から語られる話がとても新鮮に感じて。
初めて聞くような話についのめり込んでしまった。

「今日はありがとう。」
「いえ、こちらこそ。何だか信じられない時間でした。」
「あの、…俺、諦めねぇから。」
「………。」
「こんなこと言える立場じゃないのは百も承知だけど。
でも、なんて言われても諦める気は全く…ない。」
「ユンホさん…。」
「どうやったらこの気持ちが届くか、どうしたらいいのか。自分でも迷ってる…でも、これだけ言えるのは″絶対諦めない″、ってことだけ。」

そんな俺に彼女は困ったようにただ笑う。

真っすぐ俺を見つめた視線をはずさないまま。





彼女からの一言に一瞬言葉を失った。





「ユンホさん…私と、男女としてお付き合いして頂けますか?」




そして。

このやり取りが今流行りのSNS上に乗り。


いわゆる、








俺の熱愛説が出た───










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