Odette

背中合わせの2人のお話
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*YH


チャンミンが「うん」と言わない理由は、分かりすぎるほど分かっている。
自分が犠牲になることなど何とも思わない強い人だから。
間違いなく、自分ではなく誰かを思ってのことで。
つまりそれは、紛れもなく俺の為だと言うことも。

その気持ちは素直に嬉しい。
だけど、俺の覚悟を見くびって欲しくない。

お前とずっと歩いてくって、決めたから───

俺の心の中には1つの考えがあった。

果たしてそれがいいのか、悪いのか。
果たしてそれが2人が一緒にいるために、本当に必要なことなのか。
実際、自分としては珍しく迷っている。
行動に移すことでまたチャンミンを傷つけてしまうんじゃないかーーー

その思いが思い切らせてくれない。


---


普段なら、大体のことは誰に頼るでもなく1人で消化する。
今回は、自分らしくなくなかなか思い切れずにいるこの思いを聞いて欲しくて。
異性だけど同性同士の感覚で繋がっている友人のボアを呼び出した。
彼女も多忙を極めてるにも関わらず、嫌な顔せずにOKしてくれた。
店に入った時に一瞬周りがざわりとしたが、プライベートだと分かってくれるのか声をかけてくるファンもいなくて有り難い。
見かけによらず男らしいボアが食べたいと言ったサムギョプサルの美味しい店で、まずはビールで乾杯する。
俺の場合飲むとすぐ真っ赤になってチャンミンに怒られるから、最初の形だけ。

「んで、どしたの?」
「あ?」
「何か話あるから、呼び出したんでしょ。」

ボアは、頭が切れる上に察しがいい。
だから今日も、こんな彼女だから聞いて欲しくなったのかも知れない。

決めるのは自分。

相談して意見を聞くことは、実際気休めにしかならないことくらい分かっている。
でも、今回のことは″良い″″悪い″と決めて欲しいのではなく。
ただ「大丈夫」だと背中を少し押して欲しかった。

「なるほどね。…意思は固いのよね?」
「…チャンミンと別れる気はない。ただ、俺が実行することによってアイツがまた傷つくんじゃないかって、」
「あのさ、ユノ。チャンミンを弟みたいだってまだ思ってるの?」
「あ?んな訳ねぇよ。」

チャンミンは年下だけど、今や全てに置いて俺より強くなってると言ってもいい。
見かけにしてもストイックに鍛えているし、メンタル面でも俺の方が支えて貰ってるくらい。

「じゃあ、そういう心配いらなくない?
ユノがそう心配される立場だったら、どう?何か、自分だけ情けなくない?」
「あー…」
「これから一緒に生きる気持ちがあるなら。どっちかを守るってより、お互い傷ついてでも一緒に戦わなきゃ。あの頃とはもう違うんだからね。」

あの頃───

仲の良かったはずのメンバーが、マグカップだけを残して何も言わずいなくなった。
5人が3人と2人に分かれたあの朝。

マンネのチャンミンの憔悴ぶりは、それは酷くて。
自分も例外じゃなく、生きるか死ぬか───
それくらいの状態だったと思う。
訳が分からなかった。
いや、その前兆みたいなのはあったが俺とチャンミンは取り合わなかった。
彼らの言うことは分からなくもない。
でも、育ててくれた親みたいな人を裏切ることはどうしても自分には出来なかったから。
チャンミンも短いとも言えるような時間の中で、結果俺の手を掴むことを望んでくれた。

そうすることが良かったのか分からない。
今でも、自問自答することがある。
自分のエゴだったんじゃないか、チャンミンの人生を実はダメにしてしまったんじゃないか。
そんな思いはいつだって自分の心の奥にある───

だから、必死に俺はチャンミンを守って来た。
罪を償うかのように、がむしゃらにひたすらに。

「そういうの、もうチャンミンには必要ないよね?そんな関係のままなら、チャンミンはユノの気持ちに応えなかったと思うし。」
「ああ。」
「だから!つまり!思うようにやれ、ってことよ!ユノヤらしく。」

ストンと落ちた───

あの頃の俺たちとは違う。
自分が前に出て誰かを守る、そんなやり方じゃなく。
堂々と2人で前に出て痛みをも共有する。

そんな関係───

「ボア、ありがとな。」
「何が?」
「聞いて貰ったのがお前で良かったよ。」
「うわー、ユノヤからそんな風に言われたら何か怖い!」
「あ?マジで思ってんだぞ。」
「…分かってるよ。でも、状況は厳しいんだから。…上手く行くこと、祈ってるよ。」
「ああ。俺は絶対に諦めねぇから。」
「よし!どんな風になっても、アンタを信じてるから自信持って。」

この存在が凄く有難かった。

小さい身体から出て来る言葉はいつだって真っ直ぐに俺に届く。
彼女が迷う時、今度は俺が傍にいるから。

信じた道を真っ直ぐ進む。
あの時みたいに───








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月香

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