ありふれた特別な日常

2018.12.06 (Thu)

Y

最近はチャンミンの感情の揺れみたいなものを感じる事が少なくなっていて、それは2人の関係に「慣れた」とも言えば何だかいい風にも取れるが、最初の頃の昂るような気持ちが薄れたと言えばあまりいいとは言えなかった。
とにかく今日のチャンミンの感情としてはどうやら良くないらしく、個人的にはそれがやけに嬉しいのが本音だ。
チャンミンに素直にそれを言えば、さらに機嫌を悪くすると分かっているので口が裂けても言えないけど。

日本でのツアー中でドームの2daysが終わり帰国の途についた。
問題はその機中の中で起きた。
機内ではファーストクラスで周りと遮断されある程度のプライベートは守られる。
故に自分たちも空港で気を張ってる分、それをほっと息つくことが出来る。
席はチャンミンと隣同士だし、もちろんだからと言って特別なことはないが自分的には安心出来る時間であることには間違いない。
横にいないと寂しいと感じるのはチャンミンだけだ、だからそれ以外の人間が横にいる事はあまり好きじゃない。
それは機内の座席にも当てはまることで、エコノミーに比べれば広いのかもしれないが通路を挟んだとしても誰かがいると気を緩められない気がして。
だからなるべくマネージャーには自分の方を窓側にして欲しいと伝えてある。
でも、それが時々今日みたいに俺が通路側になることもあった。
そして、運がいいのか悪いのか…通路を挟んだ横の席が韓国の女優で、しかも俺の憧れの人だった───

声をかけて来たのは向こうで、チャンミンの方も律儀に挨拶をして、会話には加わっていた。
俺としては、先輩で少しだけ歳上と言う事もあり失礼のないように返事をしただけだったのに。
ましてや彼女に対しての気持ちなんて、いわゆる世間一般で言う「憧れ」以外のなにものでもない。
”綺麗”と言えば一般的に言う”綺麗”でしかなく、”可愛い”と言えばただ”可愛い”だけで当たり前だがそこに何の感情も入っていない。
女性絡みの事はこの世界にいれば沢山あり、チャンミンも分かっていると思っていたのに。

「なぁ、チャンミナ。」
「…なんですか。」
「先輩っていつ見ても綺麗だよなぁ。」
「ユノのタイプですよね。」
「あ?そうかな。」
「そうでしょ?」
「うーん、まぁ…」

それっきりチャンミンは周りの音を遮断してイヤホンを付け、窓の外ばかりを見ていた。
あまりにも俺の方を見ないから、つんと身体を突いてみると機嫌悪そうに目線だけを寄越してくる。
理由が分からず、イヤホンの片方を外し機嫌を伺う。

「どうしたの。」
「どうもしてないですよ。」
「でも、何か変だな。」
「音楽聴いてるんで邪魔しないで下さい。」

そう言ったっきり、また窓の方を向いてしまった。

「ねぇ、ユノ。」

その時、横にいる先輩に話しかけられた。
綺麗な髪を掻き上げながら足を組みなおして、笑顔を向けて来る。
”ナチュラル美人”と言われるだけあって、女優特有の派手な感じはないし化粧も素肌からケアしてるんだろうなと俺でも分かるくらいの透明感のある人だ。

でも、チャンミナとは違うんだよな───

咄嗟にそんな事を思ってしまう。
俺の癖なのか何なのか自分でも分からないが、誰かと誰かを比べる事は良くないけどそうしないでおこうと思ってもすぐにチャンミンが浮かんでしまうからしょうがない。
しかも今日はすぐ横にいる。
ちらりとチャンミンの方を見ると、やっぱり向こうを向いたままで眠っているのか微動だにしない長い睫毛だけが見える。
長くなった前髪に触れたいけど、多分今そんな事をすれば余計に怒らせてしまうことは必至だ。
だから、そんな衝動をぐっと堪えた。

「今度、食事に行かない?」
「え、あ………はい。」
「あれ?迷惑だった?」
「いえ、そうじゃなくて…まさか誘って貰えると思ってなかったので。」
「そう?2人ってのは色々マズイから、他にも何人か友達を誘うから。ユノも友達連れて来て。」
「分かりました。」
「いつがいいかなぁ…。うーん、クリスマスとか?仕事?」
「…ちょっと韓国戻ってマネージャーに確認しないと何とも言えないんですけど。」
「分かった、じゃあどうするか連絡頂戴。」

クリスマス───

最近はいわゆる「慣れ」のせいか、2人で過ごした記憶がない。
入隊中は休暇を取って友人と過ごしたし、去年はチャンミンも一緒にはいたが他にも人がいた。
寂しいなと思いながら、チャンミンは特に何かを言わないしそれでいいならと結構曖昧に過ごして来たかも知れない。
だからその流れで行くと今年のクリスマスも別々か、2人きりじゃないか、現実仕事か。

「はい、連絡先。」
「え、あ…りがとうございます。」
「ふふ。」
「何かおかしかったですか。」
「何かそうやって並んでると貴方たち双子みたいなコーデね、今日。」
「あぁ…」
「仲いいのね。」

深い仲なので───

そう言いたいのを飲み込むように緩む口元を隠した。
今日のコーデは確かに策略かと思われても仕方ないくらい、シックな色で合わせられていて。
しかも持ってるバッグもお揃い。
何か色々言われてもしょうがない。
まぁ、俺にとってはただ嬉しいだけだけど…結果も経緯も。

『じゃあ、今日のユノの洋服はこれで。』
『ん?何かお前とそっくりじゃない?』
『そうですかね。』
『ふ。』
『何か可笑しかったですか。』
『いやぁ?可愛いなぁと思って。』
『は?今のこの会話にそんな流れありました?』
『ないけどね、…ったくお前ってホント可愛いな。そういうの他にすんなよ。』
『マジ、言ってる意味分かんねぇ。』

素直にこういう時の為のコーデだって言えばいいのに。
それをしらばっくれる辺りが、何とも可愛くて仕方がない。

「なに、ユノ思い出し笑い?」
「あ、俺笑ってました?」
「何かニヤけてたけど。」
「はは。まぁ、ちょっと…朝のこと思い出して。」
「朝?」
「内緒です。」

そして、チャンミンの不機嫌な理由も分かってしまった。

「慣れた」なんて実は自分の思い込みでしかなくて、チャンミンはずっと変わらず同じ気持ちでいてくれたことが素直に嬉しい。
言葉少ないながらにもちゃんと俺を必要としてくれてたんだと腹の奥にズシンと響いた。

可愛いすぎだから───

「ったく。…あー、ねむ。チャンミン肩貸してね。」

聞こえてるか分からないし、返事を聞かずチャンミンの肩に凭れかかった。
ぴくりと身体を揺らしたが嫌がる様子もないので、これでもかとぐいぐい密着する。
それには流石ににチャンミンが声を出した。

「っ、ちょ…ユノ。」
「ん〜。お前寝てたんじゃないの。」
「寝てたけど起きた、って…引っ付きすぎ。」
「いいだろ、別に。」
「でも、」
「あー、いい匂い。」

少しだけ角度を変えて首筋に顔を埋める。
囁き合う程度だから、周りに会話が聞こえることはない。

「あの、ユノの憧れの人に変に思われますよ。」
「寝てるとしか思わないって。」
「でもっ…」

抗議は軽くスルーしつつ、思わず左手でチャンミンのうなじ側のタートルを捲った。

「あ、痕…付いてる。」
「っ、ユノ!」
「まぁ、確信犯だけどな半分は。」

タートルを抑え耳まで真っ赤になるチャンミンに、可愛すぎて理不尽に怒りさえ覚えたくもなる。
これで30歳とか、マジどうなんだ。

「ちょっと昨日ガッつき過ぎたよな、…ごめん。」
「バカ…っ、そんな事今言うな…」

痕を残すのはタブーなんだけど、何だか昨日は堪らなくなって。
チャンミンは自分のだと独占欲丸出しで、嫌がるのを無視して散々痕を付けた。
首筋だけじゃない、自分が唇を這わせたところ全てに。
それを思い出したのか、ますますチャンミンの顔が赤くなる。

「でも、まぁ、お前が悪いよね。」

横に韓国男子なら堕ちない訳がないと言われてる女優がいて、しかも微妙に誘われてるってのに全く1mmも食指が動かないなんて。

「はぁ?なんで僕が…!」
「俺にはいつも無自覚って言うくせに、自分の事は分かってないのな。」
「どういう意味…」

こんだけ堕とされた責任取って貰わないとな。

「俺に抱かれてる時のチャンミンの色気が、半端ないって意味。」
「────っ!!!」




結局、また違った意味で腹を立てたチャンミンの肩で眠るお許しは貰えなかった。



俺たちのありふれた、でも特別な───日常。




おわり




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……からの〜本日の空港の2人、的な( ᷇࿀ ᷆ )
その女優さんて誰←
妄想まんせー。
見事に双子コーデ♡しかもバッグもね♡
何かチャンミンがスタスタ先に歩いてきた感じだったし、ユノは何かよゆーでニコッてしてたし。
しかし、あのチャンミンの気怠い感じはどうにかならんのかね(真顔)
昨日の夜は……|⚭⃙⃚⃘᷄ᴈ⚭⃙⃚⃘᷅ )و゙ ㌧㌧ෆ̈


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