Signal .9

2018.11.13 (Tue)
気付きたくなかった

でも

気付けてよかった


Signal .9


Y
人生にどうにもならないものがあるとしたら、それは「人の心」だと思う。
自分を見て欲しいとどれだけ願ってみても叶うことなど稀。
若い頃は、気になる子がいれば振り向いて欲しくて必死だった時もあった。
でも今は、そうすることへの「恐怖」が強くてあの頃みたいに思ったまま動けない。
これが年齢を重ねると言う事なら、あまり嬉しくはないなと最近は特に思う。

「ユノヒョン、あの、チャミニヒョンいいんですか。」
「あ?ああ、別にいいよ。予定あるっつってたじゃん。」
「まぁ、そうなんですけど…」
「どした?」
「何か、ちょっと寂しそうだったなぁと思って。…本当はヒョンと一緒に行きたかったんじゃないですか?」
「…気のせいだろ。来たかったら来るよ、アイツの性格なら。」
「そう、ですか…。」

そうだ、ああ見えてあらゆるところがチャンミンはドライだ。
会話一つにとっても自分が描く未来にとっても、実現出来ない事なら簡単に口にはしない。
本当に自分がそうしたいと思うのであれば、着いて来るだろうし、そうじゃなかったから断った。
ただそれだけの事だ。
そう、ただそれだけで当たり前の事が自分を酷く後悔させる。

なぜ、あの時我慢出来なかったんだ。

無防備に近寄って来るチャンミンに、ぐらりと揺らいだ自覚があった。

でも、こんな風になるくらいならやっぱりキスなんてするんじゃなかった───

「今日はヒョンが奢ってやるから、好きなもの食べて飲んでいいからな。」
「わ、ありがとうございます!」

嬉しそうに声を揃える後輩達に少しだけ気持ちが上がる。
純粋で真っすぐで、危ういからこそ何とか応援してやりたくなる。
チャンミンも、俺にとっては最初そういう存在だったはずだ。
それがいつから違ってしまったのか。

もう一度その瞬間に戻れるのならば、こうなる未来を避ける為にチャンミンを好きだと自覚したくない。

───訳、ない。

きっと何度その時に戻っても俺は、自覚するに違いない。

好きだ

と───。

時間が経つに連れ酒のせいもあり、俺の前で若干緊張してたような後輩達の表情が自然になって来た。
テミンはたまにこうして会ったりしてるが、それ以外の後輩に関してはあまり接点がない。
忙しかったと言えばそれらしい理由だとは思うが、もう少し先輩らしい事をしてやらないとと改めて反省する。

そんな後輩達が盛り上がるのを一歩下がって見ていた。
本当にキラキラと輝くと言うのはこういう事なんだなぁと実感する。
箸が転がっただけでも楽しくて、ちょっとした事で傷ついて。

「あ、ユノヒョン。」
「ん?」
「電話、鳴ってますよ。」
「ああ、ありがと。」

癖でテーブルに置いたままの携帯に着信に気付いてなかった。
テミンに渡されたスマホの着信を確認する。

「っ。」

そこにあった名前は、ほんの数時間前に別れた相手───チャンミンだった。

今夜は「誰と飲んでるのか」と聞くまでもないはずだ。
そもそも、部屋を出た時点でそんな電話も必要がなくなった。
チャンミンが待つうちには帰らないのだから。

だから、電話をかけてくる意図が分からず躊躇する。

「ヒョン?出ないんですか?切れちゃいますよ?」
「あ?あぁ、うん。」

心配そうに覗き込むテミンの可愛い頭を撫でて、それに後押しされる形で通話をタップした。

「もしもし。」
『あ、…ヒョン。』
「うん、どした。」

チャンミンの落ち着いた低めの声が鼓膜をくすぐる。

なるべく普通に、不自然にならないように。
そんな事を気付いたら気掛けてしまっている自分におかしさが込み上げて来る。
こんな”俺”を誰が見ることが出来るんだと、どこか第三者的な考えさえ浮かんで。

『あの。』
「ん?」
『僕と、あの…彼女も一緒にそっちに合流してもいいですか?』
「は?」
『…ダメですか?』
「いや、ダメって事はないけどね。お前は彼女と2人の方がいいんじゃねぇの?」

この言葉は裏などなく素直にそう思った。
大勢でワイワイとやるのが苦手なチャンミンだし、そのチャンミンが連れてるのが同じ事務所とは言え女性で。
この男だらけの集まりに、その彼女と顔を出す…何となくそういうきまずさみたいなものを考えたからだ。

『勝手に、そう思わないでください。』
「え。」
『…僕だって、そっちに行きたかったかも知れないとは思わないんですか?』
「いや、あのね、チャンミナ。」
『彼女が一緒に居たかもしれないけど、同じ事務所の子なんだし。一緒に誘ってくれても良かったじゃないですか。』

責めるみたいな口調に自分の都合のいい思いが込み上げて来る。
本当はもっと誘って欲しくて、誘ったら着いて来たのに…そんな風に拗ねてるんじゃないかと。
勝手かも知れないが、そう思っただけで何となく沈んでた気分が上がって来るんだからしょうがない。

「…じゃあ、来るか?後輩いるけど。」
『分かってますよ。…今から行くんで、場所教えて下さい。』

電話を切った後、テミンに「何かヒョン嬉しそうですね」とからかわれた。
「何言ってんの」と素気なく言ってしまったが、正直嬉しさは隠せてなかったらしい。




それからしばらくして2人は姿を見せた───




to next.



---



すみません!今回は短いですが区切りがいいので。
しかも私ごとではございますが…
本日めでたくない誕生日です(笑)ワハハ
めでたくはないけど誰かには言いたい←
あー、また歳を取っちまったぜ( ᷇࿀ ᷆ )

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コメント
お誕生日おめでとうございます🎉✨😆✨🎊

いくつになっても嬉しいはずです❗❗
っても。だんだんと自分の本当の歳が曖昧になってきている私ではありますが・・・(笑)
初めてコメントさせていただきます、ちぃと申します。
いつもこっそり見てはほくそ笑み、ポチっと押しては次回を楽しみにしております🎵
ツキカさんのえがくふたり、とっても微笑ましくて大好きです♥️
チャンミンが自由奔放でいられるのは、ユノがやたら甘やかしているからだろな♥️とか
勝手に妄想しながら妄想の世界のお話を読んでいます🎵
今のsignalもふたりはすれ違っているけれど、少しずつ距離を縮めてパズルのピースのようにがっちりはまることを願いつつ、この次が楽しみでなりません🎵
また楽しいお話、待っています🎵これからも宜しくお願いします✨

すてきなお誕生日&1年をお過ごしくださいね✨
勇気を出してコメントしてみました❗
ちぃ | 2018.11.13 00:48 | 編集
おはようございます。いつもステキなお話しありがとうございます
お誕生日おめでとうございます♪ツキカさん、いくつになった?(^-^; ウフフ…

ユノもチャンミンもお互い思いあってるのグルグル切ないなぁ…💦
続きも楽しみに待ってますね(^^)

素敵な一年になりますように❤️
すえか | 2018.11.13 06:06 | 編集
ツキカ様、お誕生日おめでとうございます🎂🎉
実りある1年になります様に✨✨

潤いが大事な年齢ですので、ツキカさんの作品でドキドキ、ニマニマして
潤わせて頂いてます(*´꒳`*) ありがとうございます!
カブ | 2018.11.13 19:54 | 編集
ツキカさま

遅くなりましたが、お誕生日おめでとうございました!
素敵な1年をお過ごしください♪

お話しのほう、まだまだセツナイですね。
チャンミンの事務所のヨジャチング。いやなやつを思い出しちゃいました(-_-メ)
でもお話しに必要なので我慢します(笑)←なにさま?
早く、二人の想いが通じますように・・
これからも楽しみにしています。
ao | 2018.11.14 06:29 | 編集
ちぃさま

おはようございます!
コメントありがとうございますうううう(´;ω;`)
ホントに「おめでとう」なんて言って貰える歳でもないくせに、人に言いたがると言う…
なんつーかまってちゃんだって後で反省しましたし←

そして、うちのホミンちゃんも楽しんで頂けてるようでそれが嬉しいです♡
私があまりユノを可愛らしく書けないもので、がっつりスパダリになってしまいがちなんですけどね…
いつもそんなユノを想ってちゃーたんが胸を痛める回数が多いので、今回はユノに…と思って書いてみたんですが。
結果、どっちも苦しんでるね?って話でした(鬼)
私、うだうだする2人が大好きででして。
そういう過程を越えて幸せになって欲しいって思ってるので。
もう少し続くと思いますがお使い頂けると嬉しいです♡

コメントって勇気いりますよねぇ。
しかもうちは限定にしてないので、余計にバーンって見られちゃうので(;''∀'')
そんな中コメント頂けてほんっと嬉しかったです♡
ぽちっともして頂けてるようで、書いてる方としてはとても励みになってます。
無理ない程度に、これからもうちのホミンちゃんとお付き合いよろしくお願い致します!
ツキカ | 2018.11.14 08:23 | 編集
すえかさま

おはようございます!
コメントありがとうございますうううう。
「おめでとう」ってお祝いの言葉って幾つになっても嬉しいものですね♡
…しかし、本当にめでたくはない歳なんですけどもね(´;ω;`)
え?幾つかって?
「永遠の20歳」と答えておきます!(この言い回しで年齢バレるっすね)

Signalはグルグルしてますよねぇ~。
この感じが私が大好きなもので(鬼)
ユノを悩ませるはずが、結果どっちも…って言う(;''∀'')
でもそういう苦しい時期を越えて掴む幸せって、きっと何物にも代えがたいものだと信じてるので。
そんな思いで書き続けてます。
更新も調子いい時もあれば、まったく書けない時もあり待ってくださってる読者さまには申し訳なさでいっぱいですが。
これからも、のんびりうちのホミンちゃんとお付き合い頂けましたら嬉しいです♡
ツキカ | 2018.11.14 08:28 | 編集
カブさま

おはようございます。
コメントありがとうございますううう!!
本当に、この歳で「おめでとう」って言って貰えるなんて…
でも幾つになっても嬉しいもんだなって実感してます。
って、自分から誕生日アピしてますから、なんつーかまってちゃんなんでしょうね(;'∀')

うちのホミンちゃん、楽しんで頂けてるようで嬉しいです♡
まぁ、本当にぐるぐるしっぱなしで(鬼)
でも、恋愛するってこういう事なんじゃないのかなぁ…ってとーい記憶を思い出しながら書いたりもして(笑)
悩んだり、進んだり、戻ったり。
そんな風にしながら一つの道を見つけて行く…。
ホミンちゃんもそうであって欲しいなぁと願いを込めて、いつもぐるぐるさせてます(こら)

って、こちらこそ、こんな拙い文章を読んで下さりありがとうございますです!
これからも、のんびりとうちのホミンちゃんとお付き合いよろしくお願い致します♡
ツキカ | 2018.11.14 08:32 | 編集
aoさま

おはようございます!
コメントありがとうございますううう!!
「おめでとう」って言って貰えて凄く嬉しいです♡
ぜんっぜんめでたくもない年齢なんですけど、言って貰えると何かテンション上がります。
って、自分でアピしてますからね(笑)
なんつーかまってちゃんだよ!って突っ込んで頂いて大丈夫です(;''∀'')

Signal切ない展開続いてますよねぇ…
もうちょい続くんじゃないかと思ってますが、書いてるうちに違う方に進んだりするので何とも(鬼)
あ!ヨジャチング…もしかしてチャミペンのトラウマってヤツですね?
いや、その彼女で合ってます、実はwww
彼女をモチーフに書いてますから(鬼)でも、あえて今回は名前は出してません。
それ以外の「誰か」で妄想して貰ってもぜんぜん大丈夫なので(;'∀')
そうなんですよぉ、こういう「誰か」凄く大事なんです私的に。
そういう人物によって気付けなかったものに気付けたりもすると思うので。
そういう紆余曲折ありながら掴む幸せはまたひとしおだと、それを信じて書いてます。
のんびりとうちのホミンちゃんと、これからもお付き合い頂けると嬉しいです♡
ツキカ | 2018.11.14 08:39 | 編集
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