結局はそういうこと。

2018.11.20 (Tue)
C


ライブのために、数年ぶりにこの地を訪れた。

明日からの為に早く寝ようと思ってベッドに入ったはいいが、偶然にもスマホで目にしたソレのせいで眠気は一変に覚めてしまった。

「…ハァ。」
「ん?どした?」
「…いえ、別に。」
「ふぅん。」
「…ハァ。」
「調子悪いの?」
「かなり元気です。」
「だよな。」
「…ハァ。」
「っ、だから!なんだよ!!!」

無意識に零れる溜息にユノがいちいち反応してくる。
誰のせいだよ、と文句の1つも言いたい。

「また、やらしいの見てんのか?」
「またってなんですか、またって。」
「あぁ?また、だろ!綺麗な人大好きだしな。オレと言う者がありながら…浮気か?」
「ハァ?それこそ、ハァですよ!」
「なんだよその口の利き方は!」
「うっせーんですよ!ええ、ええ!そうですよ!僕は綺麗でグラマーな人が大好きなんです!柔らかくていい匂いですしね!!!」

ああ、と思った────

時すでに遅し。

ユノの表情がビリッと固くなった。

「あー、もういいや。…寝る。」
「ちょ、」

あからさまに不機嫌になったユノは、僕の傍を離れ隣のベッドに潜り込んでしまった。
ステージを降りたユノは時々、こんな風に子供みたいに僕を困らせる。

本当に無自覚って怖い。

「あー、もうっ!面倒くせぇなっ!」

無性に腹が立って来て、シーツにくるまりこんもりと盛り上がった物体に思い切りダイブした。

「うげっ…おも、」
「失礼な!僕は重くない!おら、出て来い!」
「ゔゔ…っ」

中でくぐもった声がする。
それでも頑なに出て来ようとはしない相手に、ますます頭に血が上る。

「僕の気も知らないで!勝手に怒りやがって!」

そうだ、全然分かってない。
見ていたのは、11月に出す新曲のオフショットの1部だった。
初めて今回、女性ダンサーとペアダンスを踊る。
その撮影風景が数秒映っていた。

そこに映るユノは、なるべく相手のダンサーに触れないように気にしているのが手に取るように分かるのに、それが逆にやけにセクシーで濃密に感じてしまう。
自分はと言うと、がっつり相手の手を取り男らしく引き寄せてはいるがユノほど色気を感じない。
この何とも言えない微妙な感覚は今まででも散々感じて来た事で、その度にユノの存在を改めて再確認せざるを得ないのだ。

悔しいような、苛立つような。

そんな気持ちは、この男には一生分からないんじゃないかと思う。

「何が″俺と言う者がありながら″だ!そのまま、そっくりアンタに返す!」

その言葉に、下で抵抗していた物体がピタリと動きを止めた。

「……?どうしました?」
「どういう意味?」
「え?なんて?」

中に入ったままボソボソ喋るから、うまく聞き取れない。

「何かした?オレ。」
「はい?もっと大きな声で…」
「だから!オレお前に何かしたのかよ?って言ってんだよ!!!」

バサッとシーツを剥いで勢い良く起き上がった反動で、ベッドから落ちそうになった。

「おわっ、ちょ…」

実際はベッドが大きく落ちはしなかったが、仰向けに転がり形勢逆転とばかりにユノからマウントを取られた。

僕に跨り膝を付いたまま覗き込まれる。

「なんなんすか、アンタは。」
「…だから、お前が何か嫌だと思うこと…オレがしたのかよって言ってんだろうが。」

弱気なくせに強気だ。

言ってもしょうがない。
本人は気付いてもいないんだから、意識的にやれる訳がない。
でも、それでも周りで振り回されてばかりいる身にもなれよとも思う。

「…何かしてたとしたら、どうなるんですか?」
「謝る。」
「即答だな。別に謝ってもらわなきゃいけない事なんてない。」
「…じゃあ、オレはどうしたらいいの。」

僕の為に、そんな風に眉を下げてくれるだけでいい───

自分が特別な存在なんだと思えるから。

「だから、別に何もしなくていいって。」
「でも、お前溜息のオンパレードじゃん。理由があるだろ、理由。」
「あるけど、ない。」
「アァ?何だそれは。」
「他の人には分かっても、ユノにだけは一生分からないことですよ。」
「は!俺にだけ分からんこと?」
「…ちょ、興奮しすぎて方言出てますよ。」
「うるさい。余計に気になるやんか。」
「だから、知らなくていいんですって。」
「んな訳なかろうが!俺の好きな奴が溜息付くくらい悩んどるのに、なんもしてやれんとかマジでイライラするっちゃけど!」
「…ぷ。」

ガシガシ頭を掻いて苛立つユノ。

───可愛い

方言丸出しで珍しい。
滅多に僕の前で出す事はないのに。
逆にそれが嬉しい。

「笑うな。」
「ああ、もう、本当に…。」

真上の人に両腕を伸ばすと、それには素直に身を預けてくれて。
ユノの首に腕を絡ませゆっくり自分に抱き寄せた。
体勢を入れ替え、向き合ったままで横になった。
当たり前みたいにユノの腕に頭を乗せると、その逞しい胸に引き寄せられる。

「何で笑ったんだよ。」
「何か可愛いなぁと思って。」
「可愛くねぇし。」
「…そんな顔、僕以外に見せたら許さないっすよ。」
「はぁ?だから、今までの会話の流れでどこにそんな要素が…」

嫉妬してくれたり、意図が分からないと腹立ててみたり、格好いいのに微妙に情けなかったり。
そういうあなたを見れるのは僕1人だけでいいから───

「差を感じたんですよ。」
「差?」

ユノの前髪に触れると、気持ち良さそうに猫みたいに目を細めた。
そんなユノを見ていると何だか観念せざるを得なくなって、結局は自分の気持ちを吐露する事になる。

「今回の新曲。女性ダンサーと踊るでしょ。」
「ああ。それが?」
「それなんです。」
「は?」
「だから、それなんですよ。」
「意味分からん。」
「だから、僕の溜息の理由です。」

今度は目がまん丸になった。
可愛いなぁ。

「いや、あれは仕事だろ。」
「そうですね。」
「しかも、いつも一緒に仕事してる仲間だし、お前と踊る彼女は結婚して…」
「だから、嫉妬じゃねーってば!…まぁ、嫉妬かも知れないけど、差なんですって!差。」
「差ぁ…」

意味分からないと言う表情。
かも知れない、と言うか本人に分かるはずもない。
それは無意識で意識してやってる訳ではないから。

「簡単に言えば、僕の好きな人は凄いってことです。」
「…なんだか、スッキリしない。」
「だから、素直に″そうなんだ″って思ってればいいんですよ。」
「あ?…おう、…うん…」

何とか溜飲を下げたのか、照れくさそうに笑った。
あれだけ注目されてるくせに、僕から言われる事でこんな風になるなんて自惚れたくもなる。

「ユノ。」
「あ?」
「お願いがあるんですけど?」
「いいよ。」
「はやっ。まだ何も言ってねぇし!」
「お前のお願いを叶えない理由が見当たらない。」
「ぷっ、言い方。」
「俺は至って真面目だぞ。」
「分かってますよ。」

笑ったらユノから優しいキスがたくさん落ちて来た。
最後に触れたのは唇で。
軽く合わさったかと思えば、腰を強く抱き寄せられるのと同時に濃いものへと変わる───

格好良く、それこそ王のような風格を持ちながら。
時に可愛らしく子供みたいに懐いてくるあなたが本当に愛しくて堪らないから。
好きより大きく愛より深い、この気持ちにピタリとハマる言葉が見つからないのがもどかしい───

「っは、苦しっ…」

唇が僅かに離れた隙に思い切り空気を吸い込んだ。
背中を叩き抗議すると、「わり。」とおおよそ悪いと思ってない返事が返って来る。

「で?」
「っ、で?って…」
「俺にお願いあるんだろ。」
「あ、…はい、まぁ。」
「言ってみ。」

こんなキスをされた後になると、改めて言葉にするのが恥ずかしくなって来た。
しかし、1度口にしたのだから譲らないはずだ、ユノの方が。
ないものにしようとすれば、ずっと僕からの″お願い″って何だと聞いてくるはずだ。
それこそ余計に口に出来なくなる。

「…別に、大したことじゃないですよ。」
「ああ。」

だから何だ、とその目が訴えて来る。
言わなきゃ良かったと後悔しても遅い。

「いや、だから。ユノの住んでるところの方言で…」
「方言?」
「まあ、…あの、さっきみたいなやつ。」
「あぁ。で?」
「だから、その…」
「あー、もうイライラする!つーか、勿体ぶるな!大したことじゃねぇんだろ!」

観念するしかない────



「だから!方言で!僕のこと好き、って言って欲しいなって!!!だから、言ったでしょ、大したことじゃないんだって!!!あああ、もう言わなきゃ良かった、本当に恥ずかしくて死にそう…」



穴があったら入りたい境地はこんなものなんだろうか。
顔を両手で覆って、勢い良くユノに背を向けた。

「っ。」

しばしの沈黙が痛い。

そして、すぐに今度は後ろから抱きしめられた。
背中から首元に顔を埋められ息がかかって、くすぐったい。

「マジ勘弁。」
「だから、本当にすみませんって!30にもなった男の言うことじゃ──」
「可愛すぎてどうにかなりそう。」
「は?」
「はー、可愛い。」
「いや、だから、あの…」
「改めて言われると恥ずかしいけどね、俺も。」
「忘れてください。」
「いいよって言っただろ。」

耳の後ろにキスをされる。
お腹に回された腕が熱い。
別に初めて気持ちを交わす訳でもないのに、何でか妙に緊張して来る。

「ふ、お前緊張してんのか。身体力入ってる。」
「っ、ちが…」

それは簡単にバレた。
こういうとこは遥かに経験値の違いを突きつけられて凹みたくなる瞬間だ。

「勘違いすんなよ。分かって当然だからな、相手がお前なんだから。」

そして当たり前のように掬い上げるから。
もう、本当にどうにかして欲しい。
こんなに想われてて泣きたくなる───

「1回しか言わないからな。チャンミナ限定。」
「…はい。」
「笑うなよ。」
「笑う訳ないでしょ。」
「恥ずかしいから前向いてろ。」

雰囲気で聞きたいと思った事が、何だかおおごとになってる感が否めない。
それもこれも全てに全力のユノのせい───
たかだかこれくらいの事で。
でも、分かっている。
どんな些細な事でも言われる相手によって、その価値は変わって来るのだと。
そして、そんなあなたをまた好きだと再確認する。

「ユノ。」
「なに。」
「僕は、あなたが好きです。」
「…チャンミナ?」

ふいに背中から覗き込まれて顔を隠した。

「あんまり言えなくて申し訳ないんですけど。」
「うん。」
「いつも言葉足らずで、すみません。」
「分かってるからいいよ。」
「ユノは。…こんな僕でもいいですか?可愛い事言えないし。」
「なに、今日は告白大会なの?」
「茶化すな。本気で聞いてるんです。」

聞こうと思ったら構えてしまって普段なかなか聞けない事を。
あなたに背を向けてるのを理由にして。

「俺はお前じゃなきゃ駄目なの知ってるだろ。こんな俺、お前じゃなきゃ一体誰に見せれるっつうの。」
「…僕だけにして下さい。」
「だろ。」

ああ、もう本当に。

「ユノ。…僕のこと好きですか。」












「うん。ばり好き。チャンミナ。」










幸せだ────










「ふ。ふふふふふっ…」
「あっ!笑うなって言ったやろ!」
「あははははは!」
「地方を馬鹿にしたろ、今。」
「してない、してない!」
「ソウル育ちやけんって格好つけとる!」
「いやいやいや、関係ないでしょ。」
「あ〜、もう言わんどけば良かった。」

笑ったのは、あまりにも幸せで。

「僕も、ばり好きですよ…ユノ。」
「なっ……」
「どうしました?」
「あああ!マジ許さん!」
「ちょっ、何すんですか!こら…っ」

あなたの格好付けない言い方が可愛すぎて。
そうでもしないと泣きそうだったから───



おわり


---


きゃー!!!
いや、もう、本当にごめんなさ〜い!!!(毎度)
やまなしおちなし…(毎度再び)
単純にユノに方言喋らせたかっただけっす( o̴̶̷᷄௰o̴̶̷᷅ )
しかも博多弁←
いや、釜山弁って大阪弁みたいなのと聞くけど分からんし(笑)
なら、私の県の方言でってwww(自分の県の方言に置き換えて読んで下さいwww)
JIJIさんのジェラスの撮影風景から、何でかこんな風になってしもた!!!ごめんなさい(DGZ)
ただイチャイチャしとるホミンじゃないの|⚭⃙⃚⃘᷄ᴈ⚭⃙⃚⃘᷅ )و゙ ㌧㌧ෆ̈


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