Sweet Halloween night

2018.10.31 (Wed)
シーツの擦れる音と、熱を含んだ息遣いと───

「乗って。」

そう言えば、何だかんだと文句を言いながらも。

甘い甘い吐息を漏らしながら、熱い中に導いてくれる。
ベッドヘッドに身体を預けた俺の上に、チャンミンが静かに身体を沈めて来た。

「ふ。」
「っ、この状況でっ…何が、可笑しいんです、か…」

俺の胸に手を付いて呼吸と整えながら、チャンミンが抗議する。
全部脱いでと言ってもそれは聞いて貰えず、腕にひっかかったままのシャツは結局、
俺を煽るだけにしかならないと言う事をチャンミンは解ってないらしく。
それもまた、とても愛しいと思った。

「だって、可愛いなぁと思って。」
「…それは、良かった…んぁっ、まだ動くなっ…」

全てが性感帯化したように、ただ僅かに足をずらしただけなのにそれが…
チャンミンには小さくももどかしい快感を生むらしかった。

「つーか、そんな顔他に見せんなよ。」

最近のチャンミンの、なんて言うか無意識に滲み出る艶っぽさが半端ない。
実際、今一緒にツアーを回ってるダンサーやスタッフにまで言われる始末。
シウォンはやたらとチャンミンに構いたくてしょうがないみたいだし。
ただ、それを本人は全く意識していない。
だから、余計に厄介だ。

「…アンタ、」
「っおわ、ちょ…」
「んっ、ぁ。」

チャンミンが俺の上で身体を上下に動かした。
誤魔化すように燻っていた熱が、簡単に跳ね上がる。
と同時に、自分にもそれが伝わったらしく艶っぽい声が零れた。

「今、誰の事考えてたん、ですか」
「あ?」
「…こんな時くらい、僕の事だけ考えろって…
言ってるんですよ、っ…は…」
「ふ。」
「っあ、また!…笑った…」

誰でもないお前の事を考えていたから、今ここでこうやってるんだって。


*


イベントごとには特別興味を持っている訳でもないのに、
この仕事をしていると嫌でも今日と言う日が「どんな日」か解ってしまう。
他でもない、自分の周りがそう示してくれるからだ。

今日も、「ハロウィン」なんだと気付いたのは数時間前。
それは歓迎したいような、そうでもないような感じで俺に気づかせてくれた。

「ユノ、今日はバンドのメンバーにご飯に誘われたんです。行ってもいい?」
「あ、そーなんだ。勿論。楽しんで来い。」
「今日はハロウィンだから、騒ごうって。それに、ギターも教えてくれるって言うんで。」
「あー、そっか。」
「…ユノも、」
「行かねぇよ。」
「…ですよね。」

そんなやり取りをして、別れた。
最近は疲れやすく、休息を取れる限りは自分の身体を休ませたいと思っていた。
その結果、俺も他に誘われはしたが乗る気にならず、先に1人で宿舎へ戻って来た。
満身創痍、自分で言うのも可笑しいが二人ともまさにそれが当てはまる。
ただ、理由とつけるとすれば「二歳差」と言うそれが…
今夜、外へ遊びに行くか行かないかの違いなんだと何となくそう思い込みたかった。

普段は時間に余裕もなく滅多にしないが、今夜は湯船を張り浴槽に浸かりたい。
好きな音楽を聴きながら。


---


バスルームから出れば、リビングは真っ暗で電気を付ける事さえ自分は億劫だったのか笑いが込み上げる。
窓から射す月の明かりを頼りに冷蔵庫へ向かいペットボトルと、テーブルに無造作に投げてあった煙草の箱を握りベランダへ向かう。
この時期の東京は、心地良い涼しさとはすでにかけ離れているくらい冷えている。
ただ、身体の芯まで温まっているのかピリピリと肌に感じる冷気が妙に心地いい。

ふうっと息を吐くと、真っ白いそれが暗闇に浮かび上がる。
柵に両手を付き、煙草を咥えたままで空を見上げていると…

ふわりと温かい感触が俺を背中から包み込んだ。

振り返らずとも、自分とは違うその温度と鼻を掠める香りで解ってしまう。


「チャンミナ?」


愛しくてたまらない年下の人。

「ん?もう終わったのか?まだ時間早───」

その腕を解き、身体の向きを変えながら言おうとした言葉は途中で遮られた。

─── チャンミンの唇に。

「っ。」

持って来てた灰皿に煙草を押し付けて消したあと。
その細い腰を当たり前みたいに引き寄せた。
元が一つだったようにぴたりとお互いがお互いに添い合う。
それに気付くと合わせた唇が僅かに笑みを刻んだ気がして、何故かそれが嬉しくて。
仕掛けられたキスを、仕掛けなおした。

「ぅん…っ…」

チャンミンはどこもかしこも甘い。
元々からそう出来てるかのように、匂い立つような香りで誰彼も惹きつける。
そう言えば、まるで訳が解らないと言うような顔をするが、
それがまたさらに想いを募らせる事を解っていない。
文字通り、チャンミンの甘い唇を思い切り堪能する。
今日は無理かと思っていただけに、余計にそうしたい気持ちがせり上がって来て止められそうにもなかった。
強く強く抱きしめてしまう。

「…ちょ、ユノ!…んんっ……」

角度を変える僅かな瞬間に離れる唇から洩れる抗議の言葉も、全て飲み込んでしまいたい。

チャンミンに触れていると、まるで自分がどうかしてしまったかのように…
掻き抱く腕を緩める事は出来なくなる。
冷たい空気と煙草の残り香と、そして愛しい人の体温と。
そんな中でのキスは眩暈がしそうなほど、濃密で温かかった。

それからも深いキスは止められず、背中にしがみ付いていたチャンミンの腕の力が抜ける頃…
ようやくその唇を離した。

「っは、…キスが不味い。」
「ん?」

肩で息をするように大きく呼吸を取り込みながら、チャンミンが俺を睨みつける。
…そんな顔ですら可愛いと思うなんて、本当に自分は重症だと思うがしょうがない。
幸せで、可笑しくて、堪らずまたふっと息を付けば。
それに早速気付いたチャンミンの顔がさらに険しくなった。

「笑う、な。」
「…ゴメン。」
「謝るな。」
「…ゴメン。」
「煙草、…吸い過ぎないで下さい。」
「うん?…ああ、そうだな。
…これからも、チャンミナと沢山キスしたいし。」
「………。」
「早くない?」
「一次会は終わったんで。」
「で?」
「帰って来ました。」
「何で?」

ずるいなぁと思う。
自分が中々言えないその言葉を、自分よりももっと口に出すのが苦手な人に委ねてしまうなんて。
でも、それを貰えた時の満たされた気持ちを知ってしまえば…
多少の意地悪はしょうがないと自己完結だ。

「ハロウィンだから?」
「それはあまり関係ないですね。」
「じゃ、何よ。」

ほらほらとせかすように、抱き寄せた身体を揺らした。
髪から一つずつキスを落として行き、耳の後ろに唇を寄せた時チャンミンの身体が小さく跳ねた。

「くすぐったい。」
「ここが一番チャンミナの匂いがする。」
「…変態。」
「な、お前…仮にもヒョンに向かってどうなの、それ。」

ついムカついて本気で言い返せば、今までしかめっ面だったチャンミナの表情が柔らかに緩んだ。

「…まぁ、いいんですけど。」
「ん?」
「僕の中に、ユノが一つでも好きなとこがあれば…
別にいいです。例え、その場所だったとしても。僕もユノの、…こんな顔が見れるし。」

”疲れてますね”

最後は本当に呟くような一言だったけど。

チャンミンの指が俺の顔を撫で。
化粧をしていない今ならはっきりと解る、目の下の疲れの名残を指で辿りながら。

馬鹿だよな、っていつものチャンミンの言葉をそのまま返してやりたいと思った。

「お前、こんなとこまで控えめでどーすんの。」
「何がですか。」
「いや、もう…いい。てか、チャンミナが欲しくなった。」
「………。」
「さっきの理由は、その時に聞かせて貰う。」
「強引な。」
「こういう俺、嫌い?」
「…好きですけど。」

その言葉を聞いた瞬間、チャンミンの身体を抱え上げた。
わぁわぁと叫んで抗議する声には全く聞こえないフリをして。

「身体、冷えちゃったな。…一緒に風呂入ろ。」
「は?ユノは入ったんでしょ?嫌ですよ、てか降ろせ!」
「いいじゃん、何回入っても。今夜は何でかお湯張って入ったんだよな。いつもならシャワーで済ますのに。この為の知らせだったのかな。」
「し、知るか!」
「隅々まで洗ってあげるからねー。」
「ちょ、ユノ…んっ、あぶなっ…」

煩い口はキスで塞いで。
どんな事を言われようとも決して、放せはしないのだから。

「チャンミナ。」
「な、なんすか。」
「Trick or treat。」
「お?…ある訳ねーでしょうが。」
「はい、いたずら決定!!」
「な、てか…んなのなくてもするくせに!」
「する。」
「馬鹿、放せ、降ろせ…」

そして、言葉通り散々溶けるほどに抱き合った後…
チャンミンから貰った答えは、やっぱり堪らなく愛しいものだった。


『ユノは、一緒に居て欲しいって言えない人だから。…多分、僕以上に。』





END




ラストはうちらしくリアルな2人で!!
はぁ〜何かやっぱり落ち着くな(笑)
🎃🎃♡happy Halloween♡🎃🎃



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