How to start the last love .8

2018.09.23 (Sun)


Y-side


体調が悪い。

自己責任。
…自己嫌悪。

プロとして失格だ。

仕事が忙しかったってのは言い訳で、
それよりもきっと。

心から来るものの方が大きいのかも知れない。

マネージャーが送ると言うのを拒否して、
一人でTAXIに乗り込む。

帰っても一人。

こういう時、誰かが傍にいてくれたらいいのに。

本気で誰かそういう人間を探してる訳じゃないのに、
無意識に携帯を弄った。

1番のダイヤルには。
俺の愛しい人の番号。

当たり前みたいで、
当たり前じゃないみたいに思えてくる。

離れて仕事してる時、
時々来るメール。

いつもそっけなくて、
短い文章。

だけど、
俺には必要だから。

『ヒョン
仕事、頑張ってますか?
僕もちゃんとやってます。
帰って来る日は、ヒョンの好きな物作ります』

『ヒョン
今日は、トークがあまり上手く行きませんでした。
こういう時、横にヒョンがいればいいなぁって思います』

『ヒョン
さっきCM見ました。
あれ、何ですか?何で…
キスとかするんですか?』

『ヒョン
会いたいです』

チャンミンからのメールを読み返して、
その文字が心に響いて。

ぐうっと熱いものが込み上げてくる。

どうして、こんな風になったんだろ。
きっかけなんて些細な事だったのに。

どうして。

瞬間、携帯が鳴った。
ディスプレイには「ミジュ」の文字。

チャンミンでなくて残念のような、
電話をくれたミジュに感謝したいような。

複雑な気持ちが込み上げる。

「もしもし?」

「あ、ユノ?
今、平気?」

「…うん。
大丈夫だよ。」

あの後の俺達が気になってたらしく、
心配で電話をくれた。

「じゃぁ、この前のホテルでね。」

そう言って、切れた電話。

ぼうっとする頭を抱えて、
約束の場所へ急いだ。


「ユノ!」

いつもみたいに、
軽く手を上げてその位置を知らせてくれた。

「今日は変装してないんだ?」

「まぁね。」

「なに、飲む?」

「ビール。」

ミジュが手際よく注文してくれた。

周りではいつもみたいに聞こえる声。

「あの時いたスタッフさ。
私とユノが恋人同士って思ったかもね。」

にこりと微笑んでさらりと呟くミジュ。
やっぱり、可愛いなと思ってしまう。
別にそこに恋愛感情がなくても、だ。

「そうかもね。」

「って、言うか。
あれからどうだった?大丈夫だった?」

「……。」

「そっか…。」

答えないのが答え。
勘のいいミジュなら、すぐに理解してくれた。

「ユノはさ、あの人が好き?」

まっすぐに見つめられながら、
聞かれた。
ミジュの瞳に、俺が映ってる。

「うん。」

「ならさ。
もう、ぶちまけちゃえば?」

「何を?」

「自分の今の気持ち。」

「今のって。」

「些細な事気にしてることとか、
そこから派生してこうなったこととか。
本当に好きなのは誰で、
傍にいて欲しいのは誰なのか。
男女とか関係なくて、必要なのは誰なのか。」

ミジュの視線がまっすぐに突き刺さる。
揺るがない強い思い。

ぐらりと視界が歪む。

まだそんなに飲んでないのに、
おかしい。

頭のどこかでミジュの声がする。

立ち上がろうとしたのに、
それは許されず。

次の瞬間、目の前が真っ暗になった。



─── チャンミン。








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