Oh my little lady .1

2018.09.26 (Wed)
僕はそもそもが、
人に笑顔を振りまくのが得意な方ではない。

自然に零れる事はあっても、
それを誰かの為にってのは、中々ハードルが高い。

目が合って、にこりと微笑むのにも抵抗があったりするのに。

ライブ中に出るそれは、夢中の中での無意識であって。
特別自分が意識してる訳ではない。

そういうのは多分、
この人の場合、考えたりもしないんだろうな。

「ユノオッパ!!」
「おわぁ~~、ナヨン久しぶりだなぁ。元気にしてた?」
「って、前回の撮影からそんなに経ってないですよ。」
「あ?あぁ、そっか。」

───確信。

絶対、考えたりしてないな。

僕の仕事は今日は終って、ユノのCM撮影に着いて来た。

コスメのそれは、シリーズ化されていて。
相手のナヨンは、最初からのユノのパートナーだ。

少女から大人の女性へ変わる時

とか、何かそういうフレーズで。
それをずっと見守ってる男が、ユノ。

そういう創り込まれたユノを見るのも、前ほどは感傷的にならなくなって来た。
画面の中で抜群の色気を振りまくユノを、誰より格好いいと思ってるのは他でもない自分だし。
ただ、両手を振って見守れるかって言われると…少しだけ答えに困る。

そんな僕の思いをよそにユノはいつだってユノで。

「え?チャンミナ、時間あるのか?だったら見に来いよ。」

と軽く僕を誘う。

あーーー…
俺は、この人にだけは唯一甘い。

───自覚。

「ナヨン、チャンミンには初めてだろ?
ホラ、挨拶して。」

そう言いながらユノに促されて、
僕の目の前に来た彼女。

当たり前みたいに細くて白くて、肩までの緩やかな栗色の髪。
巻いてあるのが、わざとらしくなくて。
大人と少女の狭間にいるってことは、どこか儚げな印象も持っていて。
それがカメラを通すとより魅力的に映るのかも知れないと思う。

そして。
誰でもこういう子をいいと思うんだろうな、とも。

その年齢を、除けば。

17歳。
まだまだ子供。

しかし、この世界の17歳は侮れない。

妙に大人と子供の両方の顔を兼ね備えた彼女らは、
それを武器にも変えてしまう事を、長年の経験でよく知ってる。

「チャンミンオッパ?初めまして!お会いしたかったです!」

まるっきり純粋なそれで来られると、妙にテンションが下がってしまうのは何でだろう。
別に会いたくないとかじゃないのに。

「…元気だね。よろしく。」

頑張れるだけ頑張って微笑んで、簡単な挨拶をした。

「何か、チャンミンオッパって…怖い。」
「ん?そんな事ないよ。
俺の大事な人なんだから、そんな事言わないの。」

素直なのかわざとなのか。
初対面の相手、しかも年上にある意味失礼とも取れる彼女の言葉を。

ユノがやんわり制する。

「だって、何かユノオッパとは違います。
綺麗だけど…」
「僕は、ユノじゃないですから。」

男相手に綺麗ってのはどうだろう。
ああ、でもユノも同じことをもっと小さい子供から言われてたっけ。

でも多分、今の僕は。
片眉だけ微かに上がった、何とも言えないヤな顔だろうなって自覚はある。

「…口調まで、怖い。」
「そんな事ないって。
ホラ、ナヨン撮影始まるよ。行こう?」

ユノがナヨンの肩を抱いて、僕の前を通りすぎる。

そして微かに振り返り、小さくウィンクをした。

「は───、…ったく、人の気も知らないで。」

その天使のような邪推のないユノを見てると、時々胸が痛む。

僕のこの言葉にし難い気持ちが、もしかしてこの人を汚してるんじゃないかって。

ったく、マジ。
どうにかして欲しいよ。




カメラマンの指示通りに、
寧ろその期待以上に作り出される表情。

それは、
そうなるのが必然かのように。

カメラマンは勿論、スタッフや共演者まで虜にしていく。

僕以外にそんな顔見せんなって、言ってみたって何の効果もない。

だってそれが、
あの人の「自然」だから。

日本から僕達を慕い、会いに来てくれた子にも。
スケートでペアを組んで、一緒に滑った子にも。
幼稚園の先生になった時の子供たちにも。

いつでも、どんな時でも。

惜しみなく愛を、笑顔を与えられる人。

ユノはそういう人だ。

「は─── っ…」

そして、分かってはいても。
今日何回目かの溜息が零れる。

マジ、カッコ悪い。

そして、そんな事を考えてる間に撮影は難なく終了した。




─お疲れさまでしたーーー!!─




「ユノオッパ!
ご飯、ご飯行きましょうよぉ~~~。ね?ね?」

と、当然こうなる。

「遅くまではダメだからな。」
「分かってますよ!マネージャーも一緒に着いて来てくれるし…」
「なら、いいけど。チャンミナ、この後何もないよな?」
「ですね。」
「うん、じゃぁ行こうか?何食べたい?」
「本当にっ??
あ、じゃぁじゃぁモデル仲間とかも呼んでもいいですかっ??」

ユノが来るって知れば、全員参加だろうな。

「俺は別に構わないよ。可愛い妹達にご馳走してやるから。」
「きゃぁあ!!ユノオッパ大好き!!
じゃぁ、電話して来ます!!」
「んー。」

嬉しそうにマネージャーが制するのも振り払って、楽屋へ戻ってく彼女を。

壁にもたれ腕を組んだまま見てた俺に、ユノが近づいて来た。

「チャンミンも、行くだろ?」
「何で僕が?行きません。」

行く訳ない、ただでさえ面倒なのに。

「何で?チャンミンも行くと思ったからオッケーしたんだぞ?明日、仕事珍しく昼からだし。なぁ?」
「……。」

ホント、マジでどうなのよコレは。
そんな可愛い顔されたからって、僕が行くとでも?

「行こう?最近、外でこういうのないし。なぁ、いいだろ?お前いないと、つまんねぇじゃん。」
「もう…」
「なぁ、なぁ、チャンドラ?」

こんな無自覚に魅力を垂れ流す相手を前に、「嫌」って言えるヤツがいたらマジ僕んとこ連れて来て欲しい。
結局は無駄な抵抗だと思い知らされる。

「い、…きますよ。行けばいいんでしょう。」
「やた。あ、でもさ…」
「はい?」
「…よそ見すんなよ?な?」
「…っ。」

一瞬すっと笑顔が引いたかと思ったら。
僕の顎を掴んで、唇をぺろりと舐め上げた。

「そ、…の言葉は、ソックリそのまんまアンタに返す…」
「はは。俺は、チャンミニだけだからなぁ。」

手をひらひら振りながら踵を返した。

こういう「雄」の部分と、こういう「子供みたいな」部分に。

俺はいつもめちゃくちゃにされて、堕とされる。

んで。

─── 抜け出せない。



---

☆ライブツアー2018 Tommorow(in Saitama)記念☆
4話で終わります。

てか、追加が京セラ20日のみとか…
夢がついえたぁぁ( ノД`)



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Oh my little lady .2

2018.09.27 (Thu)
店に向かうバンの中で。

チャンミンを補充

とか恥ずかしいことほざいて。

前に座るマネージャーの隙を付いて、キスされた───


---


2人して店に入ると。
先に集まってたナヨンの仲間という彼女らの視線が、一斉に僕達に集まる。

そして。

キャ──── ッ!!!!

───悲鳴。

特にこの年代の女の子の叫びは、耳に突き刺さる。

容赦ない。

「きゃぁ!!チャンミンオッパも一緒だったんですねぇ!!」
「ユノオッパ~、隣座ってくださぁい!!」
「私の横に来てくださぁい!!」

…何でフツーに喋れないんだろう。
語尾がやたと伸びてる。

「チャンミン、座ろう?」

そう言いながら俺の腕を掴んで、隣に座らされた。

とにかく煩くて。
とにかくハナシはスルーした。
聞いてはいるけど、本当に聞くだけ。

こういうことするからお前はモテないんだ

親友のキュヒョンの言葉を思い出した。

そんな自分に反して、ユノは相変わらず笑顔できちんと応えてやってる。

この人の手を抜いたトコを、見た事がない。

仕事でも人付き合いでも。

全てに自分の全てを注ぎ込んでる、そんな気がする。

だから、あんなに疲れるんだ。
起き上がる事もままならないほどに。
そして、その身体が癒されないままに次へ進む。

その強靭な体力と精神力は、どうやったって僕が敵うはずもない。

「チャンミンオッパ、食べてますか?」

気を使ってか、ナヨンが話しかけて来た。

「…飲んだら駄目だよ。まだ未成年。」
「…分かってますよぉ。もう、何でそんなに愛想がないんですか?ユノオッパはあんなに笑ってるのに。」
「ほっといて。」

さすがに未成年を前にして、自分達だけ飲む訳には行かず。
並べられた料理に片っ端から手をつけた。

「よく、食べるんですね。」
「ナヨンも食べたら?細すぎるんじゃない。」
「え?ああ、でも…食べると太るから。」

こういうのは聞き慣れてる。
と言うか、見慣れてる。

食べたくても食べない。
番組で食べなきゃいけなくても、ほんの一口だけ。
しかも、カメラが回ってる間だけとか。

確かに僕達も太るのはマズイかも知んないけど、ここまでは気にしてない。
気にしてないと言っても勿論、それなりに身体を鍛えてはいる。

「まだ17でしょ?食べ盛りじゃないんですか。」

見れば、周りの彼女らもすごく細い。
どんだけ制限してんだってくらい。

「外見だけしか見ないヤツらは、ほっとけばいい。」
「え?」

中身を見てくれる相手が、本当に自分を幸せにしてくれる人だ。

外見なんていくらでも変えられる。
でも。
元々持ってる心は、中身は。

変えられない。

太ってる、細いだのそれくらいは可愛いもので。
男女の垣根をすっ飛ばして僕を幸せにしてくれる人が傍にいる───
男としてのチャンミンとして想ってくれている。

「あ、…オッパ、あの、」
「あ、ナヨーン!!トイレ一緒に行こうよ?」

何か言いたそうなナヨンの言葉を、タイミング良く仲間が遮った。

「トイレとか食事中に言うな。言うなら小声で言ってください、せめて。」
「こわーーーい!!チャンミンオッパーーー!!」

って、全然怖がってないくせに。

「ナヨン、早く。」
「あ、うん…」

中でも一際綺麗で目立つ一人が、ナヨンをもう一度呼び寄せた。

それに何故かうかない顔をして、着いてくナヨンの表情が気になった。

大体、何で一緒にトイレなんか行くんだろう?
子供じゃあるまいし。
あ、…子供か。

その後から数人着いてく。

「…なんだ、アレ。」

妙に気になる。

「チャンミナ、行ってやったら?」

横でユノが囁いた。

「なんで、僕が…」
「気になるくせに。」
「べ、別に…」
「でもさ、あんな風に連れ立ってくのって変だろ。」

そう思うなら、アンタが行けばいいのに。

そんな言葉にしない抗議に気付くはずもなく、残ったメンバーと談笑を始めた。

こうなったらユノは動かない。

それに実際、さっきのナヨンの表情が妙に頭から離れない───

しょうがなく部屋を出てトイレへと向かった。

大して大きくもないそこに、何人行ったんだか一体。










「ナヨン、ちょっと生意気だよ?」
「そうそう、その顔とスタイルでさ~。」
「大体、何で私らがアンタに″呼ばれる側″な訳?」
「そんなことして貰わなくても、二人とは知り合えるっつーの。」

聞こえる彼女らの声は。
明らかにナヨンを傷つけるもの。

「何とか言えよ!」

最近の子の言葉使いは、ホント怖い。

「それは…みんなにも喜んでもらおうと思って…」
「だーーーから!その上から目線が気に入らないっつの!!」
「さっきもオッパに気安く喋りかけてさぁ。大体、何様なんだよ?」









ドンッ!!











その時、何かがぶつかる音がして。

考える間もなく咄嗟に足が動いた。

「なに、やってんの?」

まさか僕が来るなんて思わなかったんだろう。
そりゃそうだ。
普段の自分なら誰かを気にして後を追うことなんてない。
しかも、女子トイレ。

顔を出した僕に声が出せないほど驚いている彼女たち。

「……っ!!」
「あ、の…チャンミンオッパ…なんでもな、」

そう口を開いたのは、案の定壁に押し付けられていたナヨン。

「手、離せ。」

ナヨンの肩を押し付けてるその腕を。

「離せって言ってる、聞こえなかった?」
「あ、すみませ…」
「どういうこと?てか、何やってんの?」

本当にもう。
ドラマみたいな、面倒くさい事やってんなよ。

「何も別に…」

やっぱりその中で目立つ一人が、零した。
さっきの綺麗なこの子が中心か。

「何も?別にって?これが?一人をこんなに大勢で。」

数えたらナヨン以外に6人。
そりゃ、トイレもぎゅうぎゅうだわ。

「違います、チャンミンオッパ。あの…」
「ナヨン。僕から言わせて貰うと、お前が一番何やってんの?だよ。言い返さないの?何でされるがままなの?」

そんな僕の言葉に、ぎゅっと唇を噛み締めただけのままの彼女に。

やっぱり何も言わない彼女に。

───苛立つ。

「チャンミンオッパ、知らないでしょ?」
「何を?」

リーダー的な綺麗な子が、口元を上げて初めて俺をしっかりと睨んだ。

「この子、めっちゃ太ってたんですよ?それを整形してこんな風になって。
私達は元からこうだったのに。何でその子が…ユノオッパやチャンミンオッパと仲良くしてんのか、分かんないんです。」

こういうの、今だけじゃないんだろうな。
ナヨンの怯え具合を見れば分かる。

「僕らが誰と仲良くしようと関係ないでしょ。」
「だって!オッパ達は騙されてるんですよ?この外見とか顔って造ったものなんですよ?なのに…」

ああ、何か凄く苛立って来た。

「あのさ。美しさをお金で買って何が悪いの?欲しいモノ、みんな買うよね?服とかアクセサリーとか。」
「それとこれとは…」
「一緒だろ。欲しいモノをちゃんとお金払って手に入れた。そんだけ。でもさ、大事な事抜けてる。」
「な…んですか…」
「いくら外側だけ美しさを手に入れたとしても。心が綺麗じゃなきゃ、それは輝かないんだよ?意味、分かる?」

子供と言えど、18歳も19歳もいるんだ。
これが理解できないんなら、この先上手くやっては行けない。

「ホラ、ナヨンおいで。お前もさ、もっと自信持てよな。ちゃんと食べないからやられちゃうだろ?
少し、ぽっちゃりしてた方が可愛いんだって。」

そう言いながらナヨンに、上着をかけてやった。

明らかに袖から手が出る訳もなく、妙にその様子に愛しさが込み上げて。

僕らしくもなく、その細い体を抱きしめた。

「今度こう言う事やったら、絶対許さないよ?
みんな、いい容姿持ってるんだから、心も綺麗にならないと…」

ホンッと、こういうのは面倒だ。
人とのいざこざ。
しかも、女同士。

面倒で仕方ないのに、何でかこのナヨンを守りたくなった。

ここにいる子達らと変わらない言動をするのに。
でもどこか、完全には大人になりきれていなくて。

その狭間でゆれ動いて、悩んでる。

だから、それを隠すために妙に大人ぶってみて。

まるで昔の自分を見ているようで───

「痩せすぎは、ユノも好きじゃないって言ってましたよ?だから、みんなきちんと食べて下さい。」


「「「「「「チャンミンオッパ~~~!!!」」」」」」


ぞろぞろと彼女らを引きつれ戻った僕を見て、ユノはにやりと笑っただけ。

その横にどさっと腰を降ろした。

「チャンミナ、お疲れ。」
「…知ってたんですか?」
「なにを?」

知ってた顔だ。
僕よりナヨンとは付き合いが長いんだから。

ユノの思うつぼで少し悔しい。

「チャンミナ、最高。」
「はぁ─── っ…」

ここまで来ても、いつものなっがい溜息しか出ない。

「ご褒美に。
今夜、…思う存分俺から愛されな。」
「───っブッ…」

耳元で囁かれて。

飲みかけた水を吹き出した。

「「「チャンミンオッパ、汚なぁああい~~~~」」」

ああ、だから本当にうるさいんだって。



---


☆ライブツアー2018 Tommorow(in Saitama)記念☆
女の世界は年齢関係なく怖いものなのよ…

ブログ村を覗くと…
「ここにいます」的な記事上がってるのを多く見かけて。
あぁ~本当にツアー始まったんだなぁと実感してます(*´v`)



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Oh my little lady .3

2018.09.28 (Fri)
思い切り疲れるだけの時間だったような気がする。
でも、あれがきっかけでナヨンの周りが少しでも変わってくれたらいい。

「つ──…かれたぁ…っ」

ドサッと倒れこむようにして、ソファに沈み込んだ。

もう何もする気にならない。

若い子、いわゆる女子高生世代と付き合うのはかなりの体力を消耗するってことを実感する。
まさに世代ギャップ。
久しぶりの仕事以外での疲労感。

ユノはそんな僕の様子を横目にキッチンに入って行く。

「はい、お疲れ。」

そう言って手渡された、キンキンに冷えたペットボトル。
冷たい水をぐいっと流し込むと、熱くなってた頭がすっと冷えてく感じがする。

「マジで、もうあんなのゴメンですから。」
「あはは。まぁ、ああいうのって日常茶飯事なんだろうけどな、この世界では。
でもまさか、俺達がそれに遭遇するとはね。」

知ってたくせに。

しれっとそう言う事言う辺りが、何かムカつく。

「何で、僕に行かせたんですか?」
「んあ?」

僕から取り上げたボトルに口を付けながら、ユノがにやりと口元を上げた。

「ナヨンはお前が好きだから。
助けに来てくれるのが、好きな人だったら王子様みたいで嬉しいだろ。…憧れに憧れる年頃だし、さ。」
「はぁ───…」

知らないですよ、そんな事情。

「ユノオッパ、ユノオッパって…煩いくらい纏わり着いてたくせに。女子は年齢関係なく怖いです、ホント。」
「最初から、チャンミン狙いだったみたいだけど?」
「は?あ──…そうですか、そうですか。」

今日みたいなのは本気で僕を疲労させる。
自分を晒け出す感じ。
体力も精神力もMAXで使い切る。
さっきの自分を思い出すだけで、恥ずかしさで死ねる気もする。

自分らしくなかった。
ほっとけばいいのに、放っておけなかったんだ。

「また、あれでナヨンのチャンミン熱が上がったね。」
「もぉ──…どーでもいい、です。」

ホント勘弁して。

「おわっ…!!ちょっと、ユノ!なにすんですかっ…」

ソファヘッドに頭を乗っけてた僕に、ユノが勢いよく覆いかぶさって倒された。

「約束したろ。ご褒美やるって。」
「……。」

もう、これでもかってくらい褒めて欲しいと本気では思うけど。
実際、こうだと嬉しいとも思ったけど。

…調子乗るから本人に言う気はない。

そして毎回、この瞬間はとてつもなく恥ずかしい───

「…シャワー…」
「ん?いらない。」
「でも、」
「いいんだって。そのまんまの匂いで抱きたい気持ち、分かんない?」
「わ、かる訳ないっしょ、そんなの…」
「あ、そう?」

ユノが可笑しそうに口元を緩めて。
分かる訳ないでしょ、そんなの。
…多分。

するりとシャツから入り込んでくる、僕より微かに温度が高い手が。

じわじわと波紋を寄せ始める。

真上にあるその顔が、いつもと違った表情を見せるその瞬間に。

僕はまた、

───堕ちる。

くんと僕の首筋にその鼻先を寄せて、耳元で囁かれた。

「何か、俺の知らない匂いが…するような、しないような?お前、香水付けてたっけ?」

ああ。
さっき、ナヨンを俺らしくもなく抱きしめたから。

「さっき、かな。」
「さっき?」
「ナヨンを抱きしめたんです、自分らしくもなく。…香水、付けてないですよ。」

すうっとユノから表情が消えて、「雄」の顔に変化する瞬間。
そんな目で見つめられるだけで。

得も言われぬ感覚が背中を這い上がって来る。

「…お前、確信犯だよな?」
「そんな事、…ないですけど。」

この瞬間に何かを期待しての行動だった訳でもなく。
でも偶然それが貴方の何かにスイッチを入れるきっかけだったとしたら、それはそれで良かったのかもと。

そんな風に思う自分は絶対いわゆる確信犯───

目の前の綺麗な線を描く顔に両手を添えて、自分の本当にすぐ近くまで引き寄せた。
お互いの姿が、お互いの瞳に中に映ってるのが確認出来るほどに。

「さっきのお返し、ですよ。僕に子守させた、…っ」

僕の言葉を遮るように、噛みつかれるみたいなキスは。

脳の一番奥にビリビリ響いて、あっと言う間に何も考えられなくなる。

目の前にいるこの人の事以外───

ユノの舌が口内を思うように這い回って、身体の中心に一気に熱を集めてく。

「ん──っ、…っ」

呼吸をする間もくれないほど。

熱く熱く。

あまりの苦しさに背中を叩けば、ゆっくりと解かれるそれ。

「っは、ぁっ…激しいんですよ、もぅ…」
「え?チャンミナ、これからだよ?」

そう言ったかと思ったら、急に目眩に襲われて視界が変わる。

軽々と担がれるようにして、ベッドルームへ移動させられた。

どんな時でも、俺はこの人には敵わない。

目に見える力でさえも。

どさっと大きめのベッドに放り出されて、その心地よい重みが僕に重なって来る。

これから始まる濃密な時間に全身が震える。
貴方に抱かれる瞬間はいつもこんな風。
僕が僕でなくなる事への焦れったいような恐怖と、底なしに愛される期待と───

「可愛いな、うちのチャンミナは。」

毎回のようにこの人の口から零れだす睦言。
それに慣れる時間もくれる間もなく、また次の言葉で僕を包む。
まるでユノと言う存在が僕から切れることがないように。

「可愛い、とか…また、」
「あ?でも、可愛いからしょうがねぇでしょ。」

優しいキスであやされながら、ユノの綺麗な指が一気に僕のシャツを肌蹴させてゆく。

同時に僕もユノのTシャツを肩まで持ち上げ、軽く唇が離れた瞬間…頭から引き抜いた。

僕の身体に跨るように膝立ちして。
小さい頭を数回振りながら、その視線に縫いとめられれば。

誰であっても、身動き取れなくなる。

無駄がなく、逞しい身体。
目を背けたくなるのに、出来ない。

「…なに、見惚れてるの?」
「は?別に、」

それに気付かれたくなくて、ふいと横を向けば…
その細い指ですぐに元に引き戻される。

いつも子供みたいに無邪気な顔とは、全く違う顔。
さっき彼女たちに見せてた笑顔とのギャップにくらくらと酔う。

僕の名前を呼ぶトーンですら、違って聴こえる。

「チャンミナ。」

そうやって囁くみたいに呼ばれれば、僕の理性なんて軽く吹き飛んで。

優等生の仮面なんて簡単に外されてしまう。

「ユノ…。」

そして。

貴方を欲しい熱は、ますます昂ぶっていく───



---


☆ライブツアー2018 Tommorow(in Saitama)記念☆
き、今日は…親知らずを抜歯するんです((((;゚Д゚)))))))
だ、大丈夫なのか自分…。歯医者こわいよーーー!!!



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Oh my little lady .last

2018.09.28 (Fri)
行く前にユノによってつけられた種火(キス)は、ずっと僕の中で燻ぶり続けてた───。



これは、貴方の無意識の策略



簡単に囚われる───


身体中に余すとこなく、ユノの熱い唇が這いまわる。
まるで大切なものに触れるように、それは酷く優しい。
それは蜜な時間でも、リアルに仕事している時間でも変わらない。
同じ男だからもっと強くしても壊れたりしないのに、こんな風にされると何だか泣きたくなる。

「マーキングしてい?」
「なっ、んですか…」
「所有欲とか。」

───所有欲

独占欲と似ているけど違う、それ。

独占欲ほど束縛されるわけでもないのに、ゆらゆらとユノに抱かれている感覚。
酷くそれが心地よくて。

行ったり来たりするユノの唇の熱を感じながら。

昂ぶる快感への期待を、僕は浅ましくも抑えられない。

何で相手がユノだってだけで、こんなに自分の身体は全てが敏感になってしまうのか。
その指が触れる箇所全てに「俺の」だと印を付けられているような、そんな感覚にさえなってしまう。

普段汗をかかない人が、じわりと額に滲ませる───
それだけでとてつもない色香が匂い立つ。
苦し気に寄せる眉間の皺でさえ、まるで一つの芸術品のようだ。

「大丈夫か?」

そんな貴方が心配そうに僕を見下ろしてくれる。

はらりと落ちる前髪にそっと触れた。
唇の上にある小さな黒子にも。

瞬間、少しだけちりと焼けるような痛みが走る。
僕とこんな風になる前は、他の誰かもこうやって甘やかされていたんだと思うと…
そんな時間が今のユノを作って来たって頭で分かっていても、
自分以外が決して触れることの出来ない場所に触れた───
心がざらりとしたもので覆われてく。

「どうした?辛い?」
「…っ、違う…」

僕を見下ろして快感に酔っていた貴方が、少しだけ表情を曇らせた。

「でも、何かお前泣きそう。」

指先が僕の目尻に触れた。

「…大丈夫…です、」
「思ってること、言ってみ。」

そういうの辞めて欲しい。

優しかったり、意地悪だったり…優しかったり。
結局の所は、ユノはどんな時でも本質的な部分はブレない。

優しくて優しくて優しくて。

僕を甘やかすだけ甘やかして。
時に、突き放すだけ突き放して。

だけど、次の瞬間その何倍もの強さで抱きしめられる。

「っ、だから…何もないって…」
「そんな風に見えねぇから言ってる。」
「───っ…」

急に視界が揺れたと思ったら、繋がったままで身体を起こされた。
僕らのサイズに合わせてあるソファだから狭くはないけど、こんな体勢は───

ヘッドに凭れるようにして座るユノに跨ってる自分。

「っは…ぁ、」

さっきまでとは角度が変わって、思わず声が出るのを抑えられない。
自分のそれで急激に恥ずかしさが込み上げる。
身体を捩る僕を逃がさないと言うように、その逞しい腕が僕の腰に回る。

「で?」

さっきまでとは違って、今度は下から見上げられる。
真っ黒な綺麗な目に自分が映るのが分かるほど近くで。


どうやっても逃げられるはずもない───


「…っ、ただ…」
「ただ?」
「…僕以外にも、こういう感じだったのかって…思ったら、」
「あぁあ?」
「…ユノにも、こうやって触れたのかなって。ちょっと、…っ!」


嫉妬して───


そう続けたかったのに。
項に回った手が僕を引き寄せたかと思ったら、唇を塞がれて叶わない。

入って来る舌まで熱い。
熱くて熱くて熱くて。


溶かされる───


互いの唾液が行き来するくらい貪り合って。
濡れた音が僕の神経を痺れさせる。


いつの間にか、ユノの首に腕を回して求めていた───









どれくらいそうしていたのか分からないけど。
今だ中にいるユノが少し変化したのを感じて、ゆっくりと唇を離した。

「っ、ユノ…」

整わない息のまんまでその名前を呼べば、少しだけ照れくさそうに口元を上げて。

「お前が可愛いこと言うから、我慢出来ないって。」
「っば、か…また、可愛いとか言う…」
「だって、どうしようもない。逆にどうしろっつの。」

腰をするりと撫でられると、思わずぴくりと反応してしまう。
そんな僕にまた目を細めて、顎と首筋にキスが落とされる。

「嫉妬してくれんのは嬉しいけど。」
「ユノ?」
「俺も同じこと思ってっから。」
「……。」
「俺じゃない誰かがこんな風に触れたのかな、とか。
俺じゃない誰かがこんな風にキスしたのかな、とか。
俺じゃない誰かがお前を切なくさせたのかな、とか───
って言ってるだけで腹立ってくるな、マジ。」

何てことをこの人は言うんだろう。
万人に愛されてる貴方が誰か一人を想って胸を痛めてるだとか。
そんな贅沢なこと言わせてるのが、まさか自分だとか。
どれだけ人を気分良くさせたら気が済むんだろうか。

「っ、もう…」
「どれくらいこんな風にお前を抱いたか分かんねぇのに。今になってもそんな風に思って貰えるとか、俺って幸せすぎだよな?」


それは僕の台詞だ───


言葉を惜しまず毎回のようにくれるのに。
醜い嫉妬で一人こじらせてしまった時にまで、それ以上のものをくれる。

「僕の方が…幸せだと思います。」

僕に出来る事は、貴方を抱きしめることだけだ───


普通なら慣れていくのかも知れないこんな時間は。
貴方となら、まるでそれが初めてみたいに心臓の音が煩くて。
合わせる度に、濃く深く僕に刻み込まれる。


─── 堪らない。


太腿を掴むユノの指に、ぎゅっと力が入るのが分かる。

言葉にしなくても中でユノも感じてるんだと、その指先が言ってるようで。
優越感と共に、じわりと快感がせり上がって来る。

切羽詰ったようなユノの声にらならない声が。
華奢でもなんともない僕の身体を優に突き上げて。
ぎゅっと眉根に皺を寄せてる感じが。


僕の思考を麻痺させてく。


あまりににも濃厚すぎて頭が沸騰しそう。

「…っ、ユノ。」
「あぁ?…っ、」

気持ちよくて、泣きたくて───


空気を取り込もうと無意識に開いた口から、するりとユノの舌が入り込んで来た。

散々、口内を犯されながら中を突かれて。

その瞬間、中でぐっとユノが大きくなったのを感じる。

「─── ちょ、…っ」
「わり…何かお前の顔、見てたら…」

ユノの唇が耳元に降りて来た。
耳のラインを唇でなぞり、ゆっくりと口付けられる。

「チャンミナ、しないの?」

耳朶を軽く噛まれた。

しない理由───

「知ってるでしょう、がっ…」
「知らないよ?」

知ってるから、気付いてても何も言わないんでしょう。

ピアス。

理由は───

外した頃のそれとは、もしかしたら変わってるかも知れない。

でも、今何でか出来ないでいる。

あの頃の僕は今回のナヨンみたいに。
子供と大人の狭間を漂っていて…
服もアクセサリーも似合うかなんて考えもせず、ただ与えられるままに身に着けていただけ。

もしかしたらあの頃よりは似合うのかも知れないけど───

「結構、似合うと思うけど。」
「…ユノがしてるから、それでいいです…」
「そう?」
「…そう。」

─── 好きだ。

この人が。

どうしようもなく。

「…ユノ…」


名前を呼べば口元を意地悪気に上げて。

こんな些細な仕草に、僕は何度目かの恋に堕ちる。

相手はいつも、同じ人。

もっともっと、欲しいから。

貴方の全てが。

流す汗一滴までも、

───僕のものだ。











散々啼かされ動く気力もない。
そんな僕を気遣ってか、強く抱きしめてくれる腕に酷く安堵して。

こんな時間が一番好きかも知れない。

「ナヨンが。チャンミンオッパとデートしたい!って言ってたけど?」
「無理ですね。」
「何で?してやりなよ。初恋なんだからさ。」

もう天使みたいな、子供みたいな表情に戻ってる。
さっきまで「雄」の顔で僕を攻め立てたくせに。
コロコロと変えるこの感じに誰彼構わず周りがユノの虜になるのが嫌でも分かる。
今更なんだけど、可愛くて男らしくて───

「僕は年下には興味ないし。あの子にはもっとふさわしい人がこの先きっと出来ますよ。」
「ナヨンが。美しさをお金で買っても、心が綺麗じゃないとそれは輝かないってチャンミンが言ってたって。嬉しそうに、泣いてたぞ。」
「あぁ、言ったかな…そんなこと。」
「またまた、照れてんのか?しょうがねぇな。よしよししてあげよう。」

言いながら僕の頭を大袈裟に、撫でてくれる。
いつまで経っても子ども扱いされてるみたいで、嬉しくないような…
でも嬉しいような。

「俺の愛する人は、めちゃくちゃ格好いいな。」

そっくりそのまま返したい。

でも、貴方から貰う言葉ひとつで僕は優しくも強くもなれる。
貴方のことを想うように「愛する」ことは出来なくても。

貴方のように大きな気持ちで人と包んであげたいと思う───

「ナヨンにも、ユノみたいな相手が出来るといいです。」
「なに?」
「見た目ではなく、その相手の中身を深く深く想ってくれるような───」


そんな太陽みたいに熱くて大きな人と。


「僕も、彼女の”初恋”に恥じないような男にならないと。」


この世界にいたら、またきっと彼女と仕事をする機会があると思う。

その時にもまた憧れだと言って貰えるような、そんな人でいたいから。



「あぁ?俺の傍にいればそんなん全てクリアだろ。」



そう笑いながら言い切ってしまう貴方の傍で───





END




---


何かタイトルから微妙にズレたような…(;゚Д゚)
でも、まぁいいか←テキトーB型
しかも、やっぱりぬるい2人のイチャイチャ。
うぬぅ…書けぬ…どうしてかリアルを追及すればするほどリアルに描けないって言う(笑)
ダメダメだわー。
やっぱり雰囲気で読んで頂くしか…(土下座)
お付き合いありがとうございました♡



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